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協業ロボ登壇で拡がる産業用ロボット市場
2月22日の企業・産業欄に『日本の宝でもある産業用ロボット業界に、「揺さぶり」をかける動きを感じる』と題する記事を投稿した。
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世界の4大メーカー「ABB」「ファナック」「安川電機」「KUKA」の1社KUKAは、2017年に中国企業に買収されている。かつ中国は産業用ロボット企業の育成に注力している。ファナック・安川はともかく「M&A」を仕掛けられる可能性がある、日本の関連企業候補はどこかといった内容の記事だった。
記事を作成している段階で、素朴な疑問を持った。「協業ロボット」と分類される産業用ロボットの存在である。World Roboticsにとると、ここにきて着実な出荷台数の増加傾向を示している。世界市場で2017年には1万1000台だったものが、19年には1万8000台に達している。
19年は米中貿易摩擦の影響などで産業用ロボット出荷総台数が18年比13%近く落ち込んでいる中でも、13%近く増加している。協業ロボット=産業用ロボット、である。では、起こっている流れはどう理解すればよいのか。斯界に明るいアナリストは、こう説明してくれた。
「一口で言えば、かつての産業用ロボットは自動車や電機業界の大手資本にしか手が出せなかった。導入できなかった。安全性の最優先を担保するため、ロボットを安全柵で囲うことが義務付けられていたからだ。それに要する設備費用やスペースの確保が不可欠だった。その壁を乗り越えたのが、13年末の規制緩和だった。人と接触すると自動で止まる。接触前に人を避ける。安全柵なしで人と共存できるうえ小型で廉価なものも多いため、中小企業も導入しやすくなった。それが協業ロボットに分類される産業用ロボットだ。」
協業用ロボットの最大手は、デンマークのユニバーサルロボット(UR)。日本では川田テクノロジーズが知られる。建設現場など製造現場向けヒト型協業ロボット「NEXTAGE」を開発している。
また、URと連携しているのがCKDでありダイヘン。前者はURと共同開発を進めている。昨年2月にはURの認証「UR+」を取得した共同ロボット用空気圧式グリッパを3機種発売。10月には日本グッドデザイン振興会が選定する「2020年度グッドデザイン賞」を受賞している。後者はURロボットと組み合わせて使う製品の開発を手掛けている。昨夏には開発した溶接現場向け協業ロボットシステムが、国内の溶接機メーカーとして初めて「UR+」の認証を取得している。
協業ロボットの拡充は、産業用ロボット市場の拡がりにつながる。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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