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富士フイルム、阪大発の再生医療ベンチャーに出資 心不全に新たな治療を
富士フイルム(東京都港区)は16日、再生医療ベンチャーのクオリプスに出資したと発表した。同社の第三者割当増資を引き受けて1億円を出資する。クオリプスは大阪大学発のベンチャーで、iPS細胞を用いた治療薬の実用化を目指している。同社が研究開発を進める再生医療品の米国でのプロセス開発、製造受託に関する業務提携も行った。
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クオリプスの研究は、心不全への新たな治療法として期待されている。心不全にかかると、血液を全身に送り出す心臓の機能が充分に働かず呼吸困難などが生じ、また虚血性心筋症などの心疾患も引き起こす可能性がある。現行の投薬治療では根治が難しいため、他の方法が求められており、加えて重症化すると心臓移植を実施するが、需要に対してドナーの数が不足するという問題もあった。
クオリプスは、大阪大学大学院医学研究科心臓血管外科学の澤芳樹教授らが開発した、他家iPS細胞由来心筋細胞シートの事業化を目指している。他家iPS細胞由来心筋細胞シートとは、ヒトiPS細胞から作成した心筋細胞をシート状に加工したものだ。
他にも、医師主導治験の支援や、治験薬製造、商業生産を行う細胞培養加工施設を稼働させるなど、供給体制の整備も進めている。
富士フイルムは、米国子会社FUJIFILM Cellular Dynamics(フジフイルム・セルラー・ダイナミクス)が有するiPS細胞の製造施設を活用。細胞治療薬など再生医療品の開発・製造受託ビジネスを拡大していく方針だ。
これまでの製品開発で培ったエンジニアリング技術やiPS細胞関連技術、培地技術などを活かし、創薬支援ビジネスの拡大を目指す。
同社はヘルスケア&マテリアルズのセグメントが好調だ。再生医療では、バイオ医薬品製造用との培地販売などが好調に推移し、売上げが増加している。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る)
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