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折れたらバブル崩壊へ 過去のバブル崩壊とFRBの我慢比べ 後編
過去のバブル崩壊における共通点は、紛れもなく「金融不安の連鎖とパンデミック」であること、そして、「中央銀行の金利政策が引き金」となっているケースが散見されることであろう。
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1990年のバブル崩壊は、悪しき金融政策の事例として世界の中央銀行に認識されているようであるが、ハードランディングな金融引き締めによって引き起こされた金融不安が日本国内においてパンデミックし、売りが売りを呼ぶ結果となったという経緯だ。
次の1997年のアジア通貨危機は、アメリカを中心とするヘッジファンドによる通貨の空売りを起因とするものであるが、日本国内では緊縮財政や消費税増税のタイミングと重なり、急激な円安、日本長期信用銀行の破綻と国有化など、金融不安が連鎖していることが分かる。
そして2000年のアメリカドットコムバブルは、FRB(アメリカの中央銀行としての組織)がベンチャー創業資金や投資資金の調達を容易にし、IT企業の成長を促すために低金利政策を行っていたところから方向転換し、金融引き締め(利上げ)を行った結果として引き起こされた金融不安により、株価が崩壊した事例だ
続く2007年のリーマンショックは、サブプライムローンの不良債権化を起因としてリーマンブラザーズが破綻に追い込まれ、金融不安が株価の暴落へとつながっていったことは記憶に新しいであろう。
このように、過去に引き起こされた様々なバブル崩壊の原因が金融不安の連鎖であるならば、中央銀行が行うべきは圧倒的な金融不安払しょくとしての金融緩和である。そして、金融引き締めにシフトする際には、慎重なアナウンスをもって、ソフトランディングで行わなければならないということを、世界各国の中央銀行自身が良く理解しているはずだ。
つまり、前回の記事で書いたFBRのパウエル議長の金利上昇懸念払しょくは、中央銀行として当然の責務を果たしたまでとも言えるわけだが、コロナ禍という経済回復の先行きが見えづらい状況下においては、どこまでが過熱感であるかの線引きが難しいことも確かである。
その思いとは裏腹に、金利の上昇がコントロールしづらくなっているように見える現状は、まさにFRBと金利上昇の我慢比べが始まったとも見てよいのではなかろうか。今後のFRBの言動には注目されたい。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)
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