EV (2) テスラ黒字化で注目を集める日本企業はどこ

2021年2月16日 16:28

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 EVの車種で多くが採用している電池は、LiB(リチウムイオン2次電池)。1991年にソニーが初めて実用化。2000年代前半にはパナソニックなど日系企業が市場を独占していた。だがその後、アジア勢が台頭。コスト面で日本勢は追いやられていった。

【前回は】「EV」(1) テスラ黒字化で注目を集める日本企業はどこ

 では、日本勢に「浮かぶ瀬」はないのか。対して兜町のアナリストは、「いや、まだまだ存在感はある。LiBの主要部材は正極材・負極材・セパレータ・電解液。そのうち最も市場が大きい正極材では日亜化学工業、住友金属鉱山などは世界大手クラス」とした。そして以下のように噛み砕いてくれた。

■正極材では日本化学産業とアサカ理研。前者は、住友金属鉱山から正極材料の生産委託を受けている。昨年10月には増産要請を受け「月間600tから22年初めをめどに750tにする」と発表した。

 後者はLiBからの金属回収業が得手。正極材はリチウムやコバルトなどレアメタルを使用するが量の調達が容易ではない。その課題を解決するのが使用済み製品からのリサイクル事業。同社は昨年10月に「有益金属の大半を回収する独自処理施設を22年に稼働させる」と発表した。

■負極材では日立化成や宇部興産と並び、アナリストが「注目したい」とする日本カーボン。営業利益率が高い企業として知られるが「製鋼用人造黒鉛電極や炭素繊維を国内で初めて量産化、耐熱性に優れた炭化ケイ素繊維の初の実用化」など、技術力に期待が集まっている。

■セパレータ(正極材と負極材が触れないようにする絶縁体)では、旭化成や東レが世界的に高シェアを有するが、アルミ電解コンデンサ用セパレータで世界シェア首位のニッポン高度紙工業への評価も高い。電池用セパレータで約80品種を供給しており、世界で初めて植物由来のLiBセパレータも開発している。

■電解液では、関東電化工業。LiBは、イオンが電解液を介して正極と負極を行き来することで充電・放電を行う。そんな電解液に含まれる電解質の世界最大手。会社側でも「ニーズが30年には約6倍になろう」としている。

 ほかにもアナリストの口からは、「ヒラノテクシード(LiBの極材にコバルトなどを塗工・乾燥する装置で高シェア)」「テクノスマート(LiB向け塗工・乾燥装置メーカー)」「CKD(シート状の正極材・負極材・セパレーツ2枚を同時に巻き取るLiB用巻回機メーカー)」などが飛び出した。

 次回は、部品・充電器の注目企業を記す。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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