明らかにされた火星の氷河の形成メカニズム カリフォルニア大学の研究

2021年1月20日 09:04

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 地球に氷河期がかつてあり、氷河で覆われた時代があったように、火星にも氷河で覆われた場所が存在している。だが、火星に現存する氷河の姿は、地球で氷河が形成されたメカニズムとは明らかに異なるようだ。

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 地球では、最後の氷河期が今からおよそ2万年前に活動のピークを迎え、氷がほぼ地表全体を覆っていた。だがその後温暖化が進み、氷河が縮退していった流れに取り残された岩が、地表のいたるところで見られる。一方火星では、およそ3億年もの間、氷河は表面に居座り続けたままで、氷河の上にたくさんの岩が存在しているからだ。つまり、地球と火星では気候のサイクルが明らかに異なっているのだ。

 最近、学術雑誌PNAS(米国科学アカデミー紀要)で、火星における氷河のこれまでにない詳細な分析結果に関する論文が公開された。

 従来、火星の氷河については論争があった。1つは、今から3億年ないし8億年前の期間にわたって継続的に形成されたものというものだ。もう1つは、今から1万年ないし10万年前の間に起きていたことが確実視されている、赤道傾斜角の変動が過去にも起きており、それによる氷の蓄積度合いの変化によって、現在の姿がもたらされたとするものだ。これまで明確な結論は出ていなかったが、この論文では、その論争に対する重要な示唆が示された。

 カリフォルニア大学の研究者らは、火星探査衛星から得た高解像度画像から、火星の氷河の上に存在している大きな岩の粉砕状態を詳細に観察した。その結果、それらが単調に粉砕されたのではなく、幾度にもわたる粉砕プロセスによって現在の形に至っていることが判明。

 また複数の岩の並び方を、南北を結ぶ経線に対する傾斜角によって分類してゆくと、傾斜角が大きくなるにつれて、その傾斜角に沿って分布する岩の数が増加する傾向にあることを見出した。

 つまりこれは、火星の赤道傾斜角の変動によって氷河の流れも変化し、その変化に沿う形で現在、氷河の上にのっている岩の分布状態がもたらされたことを示唆している。

 言い換えれば、この氷河の上にある岩の分布の状態は、火星で起きていた気候変動の痕跡を示している貴重な証拠物件であり(研究者らは、今から3億年ないし8億年前までの間に6ないし20回の氷河期があったと結論付けている)、これをさらに詳細に調査してゆくことで、火星の気候変動状況を数億年前にまでさかのぼって解明することが可能であると、この論文は主張している。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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