【どう見るこの相場】上方修正も低PER放置のエッセンシャル・ストックは一歩後退でも二歩前進

2021年1月18日 08:55

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 6勝5敗1分けであった。すでに旧聞に属するが、前週の3連休明け12日に今期業績の上方修正を発表した12銘柄の13日の騰落状況である。この日から2月期決算会社に続き3月期決算会社の第3四半期業績の発表が、スタートすることになり、折から14日に緊急事態宣言の再発出が、首都圏の1都3県からさらに7都府県へ対象地域を拡大されたことも加わり、いろいろ示唆に富む騰落状況となった。

 勝ち組のトップは、もちろん安川電機<6506>(東1)で、4.4%も大幅続伸、昨年来高値を更新して半導体関連株などのハイテク株の急伸を牽引し、PR TIMES<3922>(東1)、三光合成<7888>(東1)に至ってはストップ高した。対して負け組は、『鬼滅の刃』効果も空振りに終わった東宝<9602>(東1)、100円ショップのワッツ<2735>(東1)、さらに一時上場来高値を更新したドラッグストアのクリエイトSDホールディングス<3148>(東1)も、引けてみれば3.3%安となり、小売り・消費関連株が中心である。セブン&アイ・ホールディングス<3382>(東1)も、前日比変わらずで引け小動きにとどまった。

 「黒い猫でも白い猫でも鼠を捕る猫が良い猫」と看破したかつての中国に指導者流にいえば、ハイテク株だろうと小売り関連株だろうと株高貢献してくれる銘柄が、マーケット・フレンドリーな銘柄であり、その後も安川電機が上値を追ったことは喜ばしいことで、行き過ぎがあったとしたら後戻りすればいいだけのことである。問題は、小売り関連株の一歩後退を余儀なくされた不人気にある。仮定の話とはなるが、もしこの業績上方修正が、前回の緊急事態宣言が発出された昨年4月に発表されたらどうなったかと想像したくなる。安川電機ほどの急伸は期待できないにしろ、少なくともマイナス反応とはならなかったはずだ。

 今回の緊急事態宣言の再発出では、前回ほど主要ターミナル駅や繁華街での人出が減少していないと報告され、これが新型コロナウイルス感染症の感染爆発の要因視されている。この緩みは、菅内閣のくるくる変わる方針変更や後手後手の対応策、菅首相の発信力不足、さらに「自粛疲れ」などいろいろ理由付けがされているが、要は危機意識の欠如・欠落に尽きる。もしそうだとして、これが兜町まで蔓延して「黒い猫」や「白い猫」を見逃しているとしたらもったいないことになる。

 昨年年初のマスク・アルコール除菌剤不足を思い起こしてもらいたい。何軒ものドラッグストアやスーパーを回っても陳列棚は空っぽでいつ製品が入荷するか不明といわれた経験をお持ちだろう。現在は、こうした欠品は解消され、むしろ投げ売りに近い安売りまで見受け、買い急ぎの動きも皆無となっている。しかし、日々の食品、生活必需品を含めたこの当たり前のことは、スーパーのレジで飛沫防止用のパーティションの向こう側でレジ打ちをしたり、商品供給のサプライチェーンを支えてくれているエッセンシャル・ワーカー(社会生活に必要不可欠な労働者)の縁の下のサポートの結果であることを忘れてはならないはずだ。

 だからこのサプライチェーンのベースとなるエッセンシャル・ストックともいうべき銘柄への投資は、いま流行のSDGs(持続可能な開発目標)投資となるはずである。株価的にも一歩後退したが、二歩前進する素地があることになる。相変わらず前置きが長くなったが、そこで今週の当コラムでは、13日の負け組も含めて業績を上方修正しあるいは上方修正含みにある小売り・消費関連株のうち、株価がなお割安水準に放置されている「黒い猫・白い猫」銘柄に注目することとした。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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