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宇宙の年齢論争に終止符か? アカタマ宇宙望遠鏡による観測データ
宇宙の年齢を推定する方法は複数あるが、それらが導き出す値が一致しなければ、正確な年齢を見出したことにはならない。宇宙の標準モデルから算出した値と、2013年に欧州宇宙機関のプランク衛星による測定データから導き出された値とは、およそ138億年ということで一致している。ここで宇宙の標準モデルとはごく簡単に説明すれば、この宇宙がビッグバンで始まり、インフレーションと呼ばれる膨張を続け、現在に至っているとする考え方である。
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だが、銀河の動きの研究をしている科学者たちからは、宇宙の年齢は138億年よりも数億年若いはずであるという問題提起が2019年になってなされ、人類は宇宙の新しいモデルに関する検討の必要性に迫られる状況となった。
いっぽうで最近コーネル大学の研究者が、アカタマ宇宙望遠鏡による観測データを用いて宇宙の年齢を導出したところ、137億7000万年という従来の研究結果と一致する値が得られた。これは98GHzと150GHzでの宇宙マイクロ波背景放射パワースペクトルの測定により、宇宙のもっとも古い光を捉えたものである。
宇宙の年齢が3つの異なるアプローチ(つまり宇宙の標準モデルによる推定値、プランク衛星による観測データから導出された値、アカタマ宇宙望遠鏡による観測データから導出された値)によって約138億年ということで一致し、この値を支持する理論が2つから3つに増えたというのが、最新の宇宙年齢論争に関する実態である。だがすべての理論で宇宙年齢が一致する状況には、まだ至っていない。
アカタマ宇宙望遠鏡による観測は、メガパーセクあたり毎秒67.6キロメートルのハッブル定数を示唆している。これは、地球から1メガパーセク(約326万光年)の物体が、宇宙の膨張により、毎秒67.6キロメートルで私たちから遠ざかっていることを意味している。
この結果は、プランク衛星チームによるメガパーセクあたり毎秒67.4キロメートルという推定とほぼ一致しているが、銀河の動きを研究している科学者たちが導き出したハッブル定数(メガパーセクあたり毎秒74キロメートル)とは、一致していない。
宇宙の膨張速度がどこでも同じなのか、それとも場所によって異なるのかという疑問に対する明確な答えはまだ出ていないが、もしも部分的に膨張速度が異なるのであれば、新たな宇宙モデルを検討する必要性が出てくる。138億年に対する数億年の違いではあるものの、宇宙の構造を正しく解明していくためには無視できない問題である。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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