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下痢が男性に多く便秘が女性に多い理由、神経伝達物質の成分に違い 岐阜大
脳から脊椎に放出される神経伝達物質と、大腸運動の性差(岐阜大学の発表資料より)[写真拡大]
岐阜大学は25日、男性に下痢、女子に便秘が多いという排便異常について、痛みを抑制する神経繊維で分泌される神経伝達物質の成分の違いに原因があるとする研究成果を、明らかにした。
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ラットを被験体とした実験を行い、オスは報酬系など3大神経伝達物質が働き、脊椎の排便中枢が活性化して大腸の運動が促進された一方、メスはそれらの神経伝達物質が働かず、大腸運動の促進効果が見られなかった。研究チームは今後、研究内容を発展させ、過敏性腸症候群の病態解明に生かす。
便が液状に近い状態で排出される下痢、本来排出される糞便が体内にたまる便秘。似て異なる症状だが、いずれもストレス社会ではびこる現代病とされる過敏性腸症候群に当てはまる便通異常だ。一方でレントゲンや内視鏡といった検査で異常は認められず、有効な対症療法を見出せないでいる。
現在、医学上で分類されている過敏性腸症候群の種類は、便秘が多い「便秘型」、下痢が多い「下痢型」、便秘と下痢を繰り返す「混合型」、オナラなどで腸管内のガス症状が現れる「ガス型」の4つ。症状が複数種類ある上、症状も混在するほか、下痢型は男性に多く、女性は便秘型と混合型が多いなど、性別により現れる症状が異なり、医療措置による症状緩和を困難にさせていた。
そこで、岐阜大の志水泰武教授は、大腸の動きに焦点を絞り、性別に合わせた治療法開発を視野に入れた過敏性腸症候群のメカニズム解明に取り組むことにした。麻酔をかけたオスとメスのラットの大腸内に、辛み成分のカプサイシンによる痛み刺激を与え、大腸運動の経過を観察。
するとオスでは、ドーパミンやセロトニンが放出され、脊椎の排便中枢を活性化させて大腸運動を促進された一方、メスでは、ドーパミンが放出されず、セロトニンやGABAが放出され、大腸運動が促進されなかった。
研究チームは、これらの生理現象について、「GABAが脊椎にある排便中枢の働きを抑え、セロトニンによる活性化効果を相殺しているためだ」と結論付け、「排便異常に性差が現れるメカニズムの一端が明らかになり、過敏性腸症候群の病態解明や、中枢の乱れを是正する治療薬開発につなげられるだろう」と述べている。(記事:小村海・記事一覧を見る)
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