土壇場で合意したブレグジットとその経緯 前編

2020年12月26日 20:31

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 イギリスでは感染力の強い新型コロナウイルスの変異種が猛威を奮っており、12月26日からロックダウンの対象地域を拡大することになっているが、そんなイギリスにおけるもう1つの大きな懸念であった、EUとの離脱後の通商交渉がようやく合意に至った。

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 そもそも、なぜイギリスはEUを離脱することになったのだろうか。まず、EUとは欧州連合のことであり、ヨーロッパを中心に28カ国が加盟する政治経済同盟である。このEUの政策によって、司法や内政に関する法律が制定され、ヒト・モノ・コトの自由な移動が確保されるほか、貿易や農業、漁業分野において共通の政策が維持されてきた。

 しかし、EU内における自由が確保される一方で、国境を越えて自由に移動できる移民の問題がイギリスでは大きな問題となった。つまりは、EU内でも比較的景気が良いとされているイギリスに移民が集まることによって、イギリス国民は職が奪われ、税金が浪費されていると感じるようになったのだ。

 また、貿易に関する制限もEU離脱に至った大きな理由の1つだ。EU以外の国との貿易をする場合、EUとして交渉する必要があり、イギリスにとってはそれが足かせに感じられたというわけだ。イギリスはGDPの規模が上位10カ国に入るという自負もあっただろう。

 イギリスの離脱への発想は、アメリカにトランプ大統領が誕生した背景に近い。誰かのためにではなく、自国民のために、保護主義、自国第一主義という発想から生まれるものだ。トランプ大統領はメキシコとの国境に物理的な壁を作ると公約を掲げて支持を得た。もっとも中南米からの移民は不法移民であることに大きな違いはあるが、パリ条約からの脱退やTPPへの不参加などは同じ発想だ。

 そのような状況下で「イギリスを取り戻せ」という主張が強まるなかで、イギリスでは保守党のキャメロン首相のもと、EU離脱の是非を問う国民投票が行われ、結果は賛成51.89%、反対48.11%の僅差でEU離脱となったのだ。

 なお、キャメロン首相は2015年の総選挙のマニフェストとして国民投票を掲げていたが、EU内の改革を求めていながらも、実際には残留を支持していたことは興味深い。結果としてEU離脱が決まり、キャメロン首相は辞意を表明している。EUという5億人規模の市場で自由にヒト・モノ・カネが動けるという環境の恩恵を、国民は当然理解しているものだとタカをくくってしまった感がある。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

続きは: 土壇場で合意したブレグジットとその経緯 後編

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