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プレアデス星団に関する世界各地の古代伝承、起源は10万年前まで遡るか
プレアデス星団[写真拡大]
最近オーストラリアの科学情報サイト「THE CONVERSATION」で、プレアデス星団をめぐる世界各地に伝わる古代伝承の起源に関する興味深い記事が掲載されていたため、今回はその話題について紹介する。
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日本では「すばる」と呼ばれ、カラオケでもよく歌われている有名な歌の題材にもなっているプレアデス星団だが、おうし座にあって冬の夜空を彩る典型的な明るい散開星団で、肉眼で眺めると複数の星が狭い範囲に密集して見える。冷静になってプレアデス星団にある星を数えてみると、どうしても6個しか見当たらないのだが、どういうわけか、世界各地で伝承されているプレアデス星団の星の数は7個あるとする話が多い。
例えばギリシア神話では、プレアデス星団はタイタンアトラスの7人の娘とされおり、アボリジニに伝わる伝承でもプレアデスはひとりの男性の狩人に追いかけられる7人の若い姉妹とされている。このようにプレアデス星団が7つ星であるとする伝承は、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、インドネシア、アメリカ大陸、オーストラリア大陸という世界の広い範囲で、しかも距離的にまったく隔絶された場所で、別々に語り継がれてきている。
プレアデス星団が6つの星にしか見えないのに、なぜ古代伝承では7つ星に数えられているのかという謎を解くカギは、プレアデス星団を構成している星たちの移動にある。
もう少し具体的な表現をすれば、現在、Pleiadと呼ばれる星は、Atlasという星に非常に接近しており、肉眼では2つの星として識別ができない。だがガイア宇宙望遠鏡による恒星の移動観測データ等を用いて、10万年前のプレアデス星団の姿をシミュレートしてみると、PleiadとAtlasは現在よりも離れており、肉眼で2つの星として識別ができたはずであるというのだ。
現生人類はおよそ10万年前のアフリカを起源とし、それらが世界中に広まったとされている。10万年前にアフリカにいた人類の祖先たちが夜空に輝く7つ星のプレアデス星団を眺めており、世界各地で語り継がれているプレアデス伝承の基になるストーリーを誕生させていたのではないかと、この記事では推論をしている。
もしこれが正しいとするならば、プレアデス伝承に限らず、現在、距離的に隔絶され、文化的な交流が不可能と考えられる世界の各地でよく似た伝承が多く存在している理由も、そこに求めることができるのかもしれない。人類が10万年も昔から、夜空を眺めて様々なイメージを膨らませていたのだとしたら、彼らもきっと現代人と変わらずロマンチストだったのだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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