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コロナ渦で暗躍するFX詐欺 甘い罠には要注意
読売新聞(電子版)は23日、『FX(為替トレード)で損しない方法がある』として、個人投資家らから2600万円もの資金をだまし取った疑いで、長野市の資産運用会社・SFP相談事務所が起訴されたと報じた。実はこの事件、長野県を中心に展開されていた一連の投資詐欺行為で、これまで全国で600人が総額36億円もの被害にあっているという。
コロナ渦による不景気により、生活費の確保や老後の資金作りに資産運用へ参入する人が増えている。これまで投資にはあまり関心を示さなかった若い世代、とくに20代女性がつみたてNISAなどの安全な資産運用を始めるなど、投資熱が高まっているのだ。
そういったニーズにつけ込んだ詐欺行為が、このところにわかに増えていると懸念される。そもそも株式投資やFXは詐欺のターゲットになりやすい投資先で、11月にも出会い系サイトを利用したFX詐欺被害が500人以上も出ている。この場合は独身女性をターゲットに、恋愛感情まで利用したあくどい手口が注目されたが、実際はもっと目立たないFX詐欺やFX悪徳サイトが横行していることを知っておくべきかもしれない。
FX会社のサイトを見ると、中には『FX自動売買で年利回り200%以上』とか、『勝率90%以上』、『1年で資金が2倍以上』など、かなり景気の良い宣伝文句が踊っていたりする。これら誇大広告により集客し、高額なFX自動売買ツールを売りつけたり、信託で資金徴収するケースも多い。だが、景気の良い利回りや勝率の実証データには改ざんされた偽データが少なくないので要注意だ。
ちなみに、個人投資の資産運用結果はかなり低い。野村證券・ノムラ個人投資家サーベイ(2015年)によると、個人投資家1000人のうち通算利益・含み益を上げたのは9.3%で、ほぼ損得がなかったのが29.1%、残りの61.6%は損益を抱えた状態であるとのことだ。
もちろん1年で何倍にも資金を増やした投資家は存在するし、FX自動売買ツールで高勝率を出しているトレーダーもいる。一概に誇大広告と決めつけられないのは事実だが、やはり『甘い言葉には罠がある』の例えの通り。
小さな資金で大金を得る投資方法はギャンブルそのもので、それは資産運用の王道を離脱していると言えよう。生活費の補充や老後資金を貯める目的で資産運用をするなら、もっと堅実な形でコツコツと投資する方が成功率は高まるだろう。(記事:TO・記事一覧を見る)
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