浪費家と貯蓄家の境目は、老後資金2000万円への危機感を的確に顕わしていた

2020年12月21日 08:51

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浪費家・貯蓄家の境界線(画像: 松井証券の発表資料より)

浪費家・貯蓄家の境界線(画像: 松井証券の発表資料より)[写真拡大]

 松井証券は10月22日、「老後資金に関する調査」の結果を発表している。このアンケートは、親子で暮らす20~60代の男女、全国800人を対象に行ったもので、次の2つの質問結果が現在の一般的な家計事情を説明しているのだ。

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 ・年収の貯蓄割合に関して、浪費家と貯蓄家の定義とは?
 ・現在の世帯貯蓄額と理想の世帯貯蓄額はいくらか?

 1つ目の回答では、年間の貯金が年収の10%以下しかなければ浪費家で、30%以上あれば貯蓄家という結果になった。この数字にはかなり高い貯蓄意欲が顕れている。年収の10%も貯蓄すれば立派な貯蓄家ではないのか。

 ちなみに正社員の平均年収が409万円(2020年度転職サービス・デューダ調べ)のため、それに対して年間の貯蓄額が40万円以下であれば浪費家と感じ、120万円以上の年間貯蓄であれば老後の貯蓄が可能な世帯だと判断しているようだ。

 つまり、老後資金を蓄えるには年間120万円もの貯金を積み立てる必要があり、平均して月10万円の積み立てを17年ほど継続すべきとの危機感を多くの人が抱いていることになる。長引く平成不況に加え、コロナ渦で収入ダウンを余儀なくされている人が多い今だからこそ、これほどまで高い数字になって貯蓄意欲が顕れているのだろう。

 2つ目の回答だが、現在の貯蓄額は20代で平均100万円、30代で300万円、40代が350万円、50代が500万円、60代の1200万円とあった。なるほど、厚労省が推奨する老後資金・2000万円に対して6割しか達成していない現状だ。

 これを受けて、理想とする貯蓄額はこうだ。20代の480万円、30代・40代の1000万円、50代の2000万円、60代の3000万円と、アンケートの質問にもあるが、厚労省の2000万円を意識した回答となっている。なお、全体の8割以上に老後資金の不安があるとのこと。

 松井証券の調査では、老後不安を解決するには少なくとも40代からの資金形成を勧めている。これは至極もっともで、実はすでに若い世代の貯蓄意欲がかなり高まっていることを付け加えておこう。

 11月にPontaリサーチが発表した『資産形成・ポイント運用に関する調査』では、『新たに資産運用を始めた・始めたくなった20代が29.1%、回答をした20代女性の34.8%がすでに始めている』としている。

 コロナ渦による経済的ダメージは、とくに若い女性に色濃く出ており、松井証券のアンケート結果を併せてみても、いよいよ誰もが資金運用を実践すべき時代に入ったと言えそうだ。(記事:TO・記事一覧を見る

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