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キツネザルが持つ冬眠能力が人類の長期宇宙旅行を可能に カールトン大学の研究
国際宇宙ステーションは1998年11月に建設が開始され、少なくとも2024年まで運用される方針が決まっている。現代は宇宙での長期滞在が比較的身近にとらえられる時代になっている。とはいえ、火星はもとより近い将来さらに遠くの世界を目指すためには、現在コンスタントに実現できている数カ月単位の宇宙滞在ではなく、数年間あるいは数十年間にも及ぶ宇宙滞在を可能にするテクノロジーを、人類は習得していく必要がある。
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人類の宇宙長期滞在を可能にするテクノロジー候補に関する情報が14日、オーストラリアの科学情報サイトTHE CONVERSATIONで公表された。これはカナダ・カールトン大学による、キツネザルの冬眠能力に関する研究だ。
人間の代謝活動を大幅に遅くしたり、完全に停止したりして、仮死状態にすることができれば、宇宙に長期間曝されることへの時間的、あるいは心理的な問題や、健康上の懸念が解消される。さらに積載すべき食糧や水資源、エネルギー資源も大幅に削減できるため、宇宙船のサイズを小さくでき、ミッションにかかるコスト負担も軽減できる。そうなれば、様々な方面へのミッションを同時に展開できる可能性も出るなど、多くのメリットがもたらされることになる。
カールトン大学では、地球に生息する霊長類の冬眠能力に着目し、研究に着手している。冬眠能力を持つ霊長類は、資源が不足して気温が下がると冬眠状態になり、体温を大幅に下げることなく冬眠状態に入れるという、ユニークな特徴がある。
ハイイロネズミキツネザルでは、この冬眠能力を発揮できる原動力として、RNAの短い断片であるマイクロRNAが機能し、遺伝暗号自体を変更することなく遺伝子発現を調節している。つまり彼らは、周りの環境の変化に応じて自在に遺伝子信号のオンオフを可能にしているのだ。
またマイクロRNAのいくつかは、冬眠中の筋肉の消耗と戦うこともわかっている。この遺伝子のオン/オフスイッチを利用すれば、人間の冬眠を助ける可能性がある、迅速で可逆的な変化を得ることができる。
今後マイクロRNAが人類の宇宙長期滞在を実現可能にする重要なキーワードになることは、紛れもない事実だが、研究者たちはまだ人工冬眠を可能にするジグソーパズルのピースの1つを解明したに過ぎないと主張している。というのも遺伝子のオンオフ制御だけなく、細胞をストレスから保護する能力や、冬眠期間中にエネルギーを蓄える能力などに関するメカニズムの解明がまだ済んでいないからだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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