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『中国経済と日本企業2020年白書』を使い中国語と中国経済を効率よく学ぶ方法
1991年に設立された中国日本商会は、毎年秋に中国語と日本語で『中国経済与日本企業2020年白皮書(中国経済と日本企業2020年白書)』を公表している。中国に進出するほとんどの日系企業が所属している同商会は、メールやセミナーを通して定期的に中国ビジネスに関わる様々な情報を会員企業に提供している。同時に、日系企業が中国で直面する様々な問題を汲み上げて、中国政府に政策・提言を行い、中国政府から公表されるパブリックコメントに対応する役割も果たす。
【前回は】中国語学習に最適の無料テキスト! 中国日本商会の『中国経済と日本企業白書』
『中国経済と日本企業2020年白書』は、日系企業から汲み取ったビジネス現場の状況や課題をもとに作成された最新の資料で、中国の経済、貿易、投資、各種産業、中国各地方経済など中国ビジネスに必要なデータや情報が詰まっている。中国ビジネスに関わる人にとって、当該資料は、中国語と中国経済関連知識が同時に学べる最強のテキストだ。また、日本語訳もビジネスシーンに相応しい簡潔な適訳・名訳が多く、翻訳や通訳の勉強にもなる。
『中国経済与日本企業2020年白皮書』
http://www.cjcci.org/cj_pdf/eco2020/200904_CN_All.pdf
『中国経済と日本企業2020年白書』
http://www.cjcci.org/cj_pdf/eco2020/200904_JP_All.pdf
先週の記事で『中国経済と日本企業2020年白書』を教材に使用して進める「未知語推測訓練」の具体的な方法について紹介した。
『中国経済と日本企業2020年白書』のように日中両言語のテキストが揃う経済関連資料を利用して、ビジネス中国語の学習を進める場合、下記の3つの方法が最も効果的だ。ビジネスシーンでは、大量の関連情報・データを把握したり、迅速かつ的確にヒアリング・理解し、先方に対しても要点を明確に伝えることが最重要課題であるからだ。
・未知語推測訓練方法
・スラッシュ・リーディング(Slash Reading)
・サマライゼーション(Summarization)
先週に引き続き今週は、スラッシュ・リーディングの学習方法について説明したい。
■スラッシュ・リーディング学習を行うメリット
スラッシュ・リーディングは、外国語を外国語の語順のまま理解するための訓練で、速読やヒアリング力向上に高い効果がある。英語や中国語は日本語と語順が異なる。このため、私達は普段から1つの句を読み終わってから、後ろから訳す癖がついている。
きれいな日本語を目指して後ろに戻って訳そうとすると理解するまでに倍の時間がかかってしまう。またヒアリングの場合はネイティブのスピードについていけず、どんどんおいていかれてしまう。
■スラッシュ・リーディング(Slash Reading)の具体的な学習方法
1. 最初に白書から学びたい箇所を決めて、日本語版と中国語版の該当ページを開く。ここでは下記の1文を使う。
第1章 中国经济与日本企业的现状,P20(中国経済と日本企業の現状,P21)
2019年中国经济走向
从2019年中国经济的开局来看,/随着中美贸易摩擦谈判取得一定进展,/企业等各方一度恢复信心,/经济有望由此好转。/为了确保这一趋势能够持续下去,/中国政府自年初便开始采取措施,/包括一揽子消费刺激政策、/减税、降低社保费以及提前发行地方债等。/然而,入夏以后,/中美贸易摩擦重燃战火/并走向长期化,/再加上中小银行面临的经营问题,/导致未来的不确定性增强,/经济下行压力加大。/
2019年の中国経済の動向
2019年の中国経済は、/米中貿易摩擦に関する協議が進展するもとで、/企業等のマインドが一旦は落ち着き、/経済の持ち直しが期待される局面から始まった。/中国政府はこうした動きを確実なものとするため、/年初より、包括的な消費刺激策や/減税・社会保険料の軽減、/地方債の前倒し発行等を実施した。/もっとも、夏場以降は、/米中貿易摩擦の再燃・ 長期化や/中小銀行の経営問題もあって/将来への不確実性が強まり、/経済への下押し圧力が高まることとなった。/
2. 中国語の文章を声に出して読み、意味の区切りと判断したところでスラッシュを入れ、そこまでを日本語に訳す。これを繰り返して、1つの段落を読み・訳し終わったところで、日本語版で自分の訳に間違いが無いか確認。同時に、名訳、適訳、時事単語、新語、重要単語、経済用語などについてもチェックしよう
名訳: 1行目「企业等各方一度恢复信心」→「企業等のマインドが一旦は落ち着き」
重要単語: 3行目「一揽子」→「包括的な」
経済専門用語: 3行目「提前发行地方债」→「地方債の前倒し」
5行目「经济下行压力加大」→「経済への下押し圧力が高まる」
3. 次の段落では、同じ要領で日本語版の資料を読み、中国語に訳す練習をする。
外国語を短期間で習得した人に共通していることは、楽しいと思える学習を工夫したことだ。『中国経済と日本企業2020年白書』を教材に楽しく学ぶには、自分が最も興味関心を抱く分野から学習を進めることだ。知りたい分野や仕事に直接関係する内容であれば、「楽しい、面白い、興味深い」という感情が大脳の扁桃体の動きを活発にし、この動きが海馬の働きに影響を与え、記憶が定着する。
次回はビジネスで最も重要な、プレゼン力や分析・理解力を鍛えるサマライゼーション(Summarization)の学習方法について紹介する。(記事:薄井由・記事一覧を見る)
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