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後継者難による倒産が1.5倍に 新陳代謝できない「30年以上」の会社
東京商工リサーチは2日、2020年1~9月の「後継者難」倒産が278件にのぼったと発表した。前年同期比1.5倍以上と大幅に増加。年間で最多を記録した2015年の279件を大きく上回るペースとなっており、年間300件を超える見込みだ。倒産件数自体は小康状態にあるが、中小企業の多くで事業継承が難しくなっている。
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後継者難の倒産理由は、代表者の「死亡」が119件で最も多く、「体調不良」が69件と続く。中小企業では、営業や経理など経営全般を「社長」がひとりで担っているケースも少なくない。これがあだとなり重要な情報が共有されず、代表者の死亡や病気が倒産に直結している。
後継者難を要因とする倒産では、業歴30年以上の会社が135件とほぼ半数を占めている。歴史は長いものの、人材育成や新陳代謝に力を入れてこなかった企業が、淘汰されていることが分かる。
代表者の高齢化は業績悪化につながりやすく、業績が厳しいと後継者が見つかりづらいという負のスパイラルに陥りやすい。新型コロナウイルス感染拡大の中、こうした「次の社長不足」が倒産や廃業を加速する可能性が高い。
産業別に見ると、建設業が62件(同77.1%増)で最多となった。その他、飲食業を含むサービス業が52件(同13.0%増)、卸売業49件(同96.0%増)も多い。製造業や小売業、運輸業、情報通信業も前年同期を上回った。一方で、金融・保険業は年2ぶりにゼロだった。
形態別に見ると、破産が構成比88.4%で最も多い。代表者の状況で事業継続が困難になると、再生型ではなく破滅型の「破産」を選択する傾向が強いと言う。また、代表者の死亡に伴う相続手続きで、法人を破産処理するケースも少なくない。
こうした状況に対応し、事業承継やM&Aに関するコンサルティングやアドバイザリーサービスを展開する企業も出てきている。だが、経営の意思決定を行う代表者自体が、事業意欲を低下させている場合が多く、状況は簡単には好転しない。
後継者の有無は、企業の存続可能性を判断する上で金融機関からも重視されている。早期に後継者育成に取り組み備えることが、中小企業の命題のひとつだと言える。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る)
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