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ISSでのロボット給油ミッション第2弾が成功 NASA
アームロボットが極低温流を移動させる (c) NASA[写真拡大]
宇宙船の運用に不可欠な燃料。地上とは異なり、給油を人に頼ることは困難だ。これまで宇宙空間で給油する技術は存在しなかったが、米航空宇宙局(NASA)によるロボット給油ミッション(RPM3)が、この状況を一変させようとしている。
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■宇宙空間で実施された給油ミッション
RPM3は、2018年12月に国際宇宙ステーション(ISS)で立ち上げられたミッションだ。このミッションでは極低温流状態の燃料を移し替えることが実施される。RPM3で必要なのが、「デクスター(特殊目的ロボットアーム)」だ。カナダが開発に関わったデクスターは物体の移動を可能にする「腕」で、2008年にISSに取りつけられた。
今回のRPM3は、2019年夏に実施されたデモに続いて2度目だ。デクスターは同時に、11フィート(約3.4メートル)のホースを専用の極低温流ポート(差し込み口)へ接続することと、ホースが接続されたかの確認を実施している。蛇のようなカメラをホースまで伸ばし、ポートへと正しく挿入されたのかが確認されたという。
■極低温流状の燃料で長時間宇宙旅行も可能に
宇宙船の燃料として期待されているのが、液体水素などの極低温流だ。液体水素は燃料電池で発電させることで動力へと転化される。水素を使った燃料電池は自動車などのモビリティ用にも期待されている。
宇宙空間上で極低温流状の燃料を用いるためには、給油のほかに貯蔵も必要だ。極低温流は低温状態で維持されないと、蒸発してしまう。RPM3のデモに先立ち、液体メタンを4カ月間失うことなく貯蔵することにも成功しており、過去最長を更新している。
今回RPM3は極低温流の移動を成功させた。冷却材や推進剤の移動が可能になることで、宇宙船の継続的な使用を延長できる。これにより、今後移住計画が予定されている月や火星への移動が容易になることが期待される。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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