「三鬼商事の社名の由来が故三鬼陽之助氏」ならば尚更・・・

2020年10月10日 19:09

小

中

大

印刷

 三鬼(みき)商事は事務所・オフィスビルの仲介を全国的に展開する、斯界の大手。全国紙などで月に1回、その社名を目にする人もいるかと思う。毎月、主要ビジネス地域(東京ビジネス地区なら都心5区=千代田・中央・港・新宿・渋谷区)のオフィスビルの平均空室率・平均賃料を発表している。オフィスビルの需要動向を知る上の、かっこうの材料となっている。

【こちらも】「いいオフィス」がいいオフィスの理由

 8月の発表数値は、注目に値するものだった。平均空室率は3.07%。前月比0.30ポイント悪化した。三鬼商事では、「8月は(在宅/テレワーク等の広がり等による事業展開の必要面積の)縮小に伴う解約の影響が出ていたことや成約の動きが小規模だったこともあり、東京ビジネス地区全体の空室面積はこの1カ月間で約2万4000坪増加し、平均空室率が30カ月ぶりに3%台に上昇した」という分析を示した。

 さらに新築ビルの空室率が2.46%と前月比0.33ポイント悪化したことについて、「8月は新築ビル2棟が募集面積(リーシング/契約面積)を残して竣工したしたこともあり空室率が上昇した」と解説。既存ビルについても空室率3.09%と7月に比べ0.30ポイント悪化したことを、「大型解約の動きは少なかったが、縮小等による中小規模の解約が相次いだことが影響した」とした。

 また平均賃料については、東京ビジネス地区で2万2822円/坪。昨年8月より1038円(4.76%)上がったものの、7月よりは192円(0.83%)下がった。三鬼商事では、「2014年1月から続いていた(前月比)賃料の上昇が80カ月ぶりに止まった」とした。

 さらに大阪ビジネス地区の8月の平均賃料は1万2006円で前月比0.15%(18円)上がったが、平均空室率は2.78%(前月比0.07ポイントと)4カ月連続の悪化。特に梅田エリアの平均空室率は2.01%と2019年2月以来の2%台となった。

 コロナウイルス禍による一過性のものなのか、重なる形で進んだ「働き方改革」を映し出したものなのか。三鬼商事は現状を客観的に伝えるだけで、先々の展開等には決して言及しない。内部から聞こえてくるのは、「うちは、不動産経済研究所ではないから」という言葉のみ。逆に言えば「だけに諸々の推測・憶測を生み出すかっこうの材料になる」と不動産業界紙の記者たちは、口を揃える。

 三鬼商事は1965年に設立されている。初代の高橋弘昌社長が、三鬼商事と名付けた。その理由は高橋氏が経済・経営評論家で雑誌「財界(現、経営塾)」の創業者でもあった、故三鬼陽之助氏の大ファンだったことに由来すると伝えられている。故三鬼氏なら「現状を語るなら、展望を語らないのは・・・」と疑問を呈するかもしれない。まあ、三鬼商事としては「展望を語る」のは商売上重荷を背負うことにもなりかねないが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード働き方改革

関連記事

広告

財経アクセスランキング