文章が書けるAI登場 米研究機関オープンAI「GPT-3」(2) SEOが不要?

2020年10月3日 17:13

印刷

 GPT-3が読解や質疑応答、翻訳など様々なアプリケーションに応用可能であることを考えると、もし使用を間違えた場合に大量のフェイクニュースを流し、非常に危険な状態となる。それは、「GPT-3」を使って簡単な文章からプログラムのコーディングが出来たりするためだ。「AIの仕様」を簡単な自然言語文章で指示すると、そのAIが出来てしまうなど、使い方によって危険が生じることとなる。

【前回は】文章が書けるAI登場 米研究機関オープンAI「GPT-3」(1) 進歩なのか? 脅威なのか?

 しかし、日経XTECHによると、現状「GPT-3」を使うには数百ギガバイトのメモリが必要になり、それでは1台のサーバーで収まらなくなる。新規のアーキテクチャーを導入したのではないため、富岳ほどのスーパーコンピュータを動かす必要があることになってしまったようだ。この2年で、500メガバイトのメモリ消費量だったものが数百倍になったことになる。「GPT-2」から「GPT-3」に発展させる時、処理方法に新しいアーキテクチャーを導入するのではなく、AIの作業範囲を広げただけなので、高機能が実現した見返りに巨大なメモリを必要としてしまったのだ。

 現在、メモリ使用量を大幅に削減する新アーキテクチャー研究も進んでいるが、今のところ「GPT-3」は気軽に使用できるものではないようだ。だが間もなく、問題は解決されることが予測され、500メガバイトのメモリ消費量に戻ることが出来れば、パソコンで気楽に起動できるようになる。

 すると、文章解読や作成がAIに取って代わられることとなろう。我々新聞記者は不要となるということだ。一般的な情報記事は、AIの方が正確である可能性が出てくるのだ。ましてや「社会悪」とも感じられる昨今の低レベルの「まとめ記事」は、AIによる正確な「情報まとめサイト」として新たな活躍がありえることとなろう。

 最も社会に影響を及ぼすと考えられるのが、検索エンジンが、文章の裏に込められた意味などを含めて正確に解読できるようになり、フェイクニュースを見破り、いわゆるSEOが意味をなさなくなる時が来ることだ。これは内容を軽視しSEOを最優先とするネット上の誤った現在の情勢に対して、「内容重視の正常な状態」に出来る切り札だ。

 現在「オープンAI」に対して出遅れている、「検索エンジンで社会に責任を持っている」と思われるグーグルには、メモリ容量の問題も解決できる力もあるはずなので早く追いつき、正常な社会常識のネット情報を実現してもらいたいものだ。

 この命題は、フェイクニュースで溢れる「ネットの世界を信じている若者たち」を、「社会正義」に振り向かせる結果になるかもしれない。期待を込めて、検索エンジンの能力向上がネット社会の歪みを取り除く切り札となるとしよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事