世界の穀物生産額、気温が2度上昇すると年間800億ドル減少 農研機構が試算

2020年10月2日 19:10

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気温上昇による穀物生産被害のデータ(画像: 農研機構の発表より)

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 大気中に化石燃料の使用などで発生した温室効果ガスが滞留し、気温がじわじわと上昇する地球温暖化。将来的なマイナス影響が大きいとされ、様々な分野の研究者が経済的損失を推計する調査に追われている。そんな中、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が、工業化以前の水準から気温が2度上昇した場合、トウモロコシやコメといった主要な穀物の生産高が減り、世界全体で年間800億ドル相当の減少がもたらされるとの試算を発表した。

【こちらも】温暖化による穀物生産被害、世界全体では年間424億ドル 農研機構などの推計

 研究は、国際農林水産業研究センターおよび農林水産政策研究所と共同で実施。数理計算により、収穫量減少に伴う生産被害、その被害防止で必要となる対策費用、対策でカバーできない被害により残る損失額(残余被害)の3つを求めた。

 結果、温暖化に伴う生産被害は、工業化以前の水準と比較した気温の上昇幅が1.5度で630億ドル、2度で800億ドル、3度で1280億ドルに上ると推定。上昇幅が高いほど、被害額が大きくなることが判明した。

 この想定被害に対して、温暖化に強い品種改良など、温暖化への適応策の実施することで被害額は抑えることが出来る。それでも更に残る残余被害額は、気温2度上昇で190億ドル、3度上昇で500億ドルと、上昇温度に比例して増えた。

 一方、気温の上昇幅が1.5度だった場合は、残余被害の割合が2度や3度に比べて8~23%低い16%(100億ドル)まで抑制できる。研究グループは、「気候変動の進行を抑えれば、気候変動の悪影響を大幅に軽減できる」としている。

 とはいえ、現実は厳しい側面がある。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、効率的な温暖化対策を取られなかった場合に21世紀末の気温は4度上昇すると予測。各国の気候科学者でつくるグループは、産業革命以前に比べて地球の平均気温の上昇を2度未満に抑えるという、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の達成は難しいとみている。

 また気候予測は、不確実性が大きく、温室効果ガスの排出削減や社会経済状況の改善など人為的な要因が、経済被害を抑制する保証はない。特に、農業は気候リスクに最も脆弱な分野とされ、国内外の専門家から温暖化に伴う洪水や高熱、干ばつの増加で農作物の収穫量減少は確実視されている。

 米国では温暖化に伴う洪水の発生を危惧し、国内農家がトウモロコシの作付け量を減らすなど、各国で温暖化による影響が穀物生産に出始めている。それだけに、温暖化適応策の推進は必至。今回のような研究成果を各国で共有するなどし、国家主導のもとでバイオ企業と連携した高温耐性品種の開発や、土壌の炭素貯留などの取り組みを加速させる必要あるだろう。(記事:小村海・記事一覧を見る

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