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豆腐業者の倒産、19年度は21件で大幅増 20年度もハイペース続く 東京商工リサーチ調査
東京商工リサーチの調査によると、小規模経営の多い豆腐製造業者が、売上の伸び悩みや後継者問題により厳しい状況にあることが分かった。
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■業界の売上高は伸び悩み
14日、東京商工リサーチが国内にある豆腐業者の業績動向調査を発表した。これは、同社の企業データベース390万社を元に、2017年4月から20年3月までの期間で売上高、当期純利益が比較可能な豆腐製造、小売業者591社を分析したもの。
売上高は、17年度が2,439億500万円、18年度は2,466億2,300万円(前年度比1.1%増)、19年度は2,450億7,900万円(同0.6%減)と、伸び悩みの傾向にある。また純利益は17年度が23億5,000万円、18年度が16億8,800万円(同28.2%減)、19年度は15億9,400万円(同5.6%減)と2年連続でマイナスとなった。
■減収企業や赤字企業が増加
19年度の業績は、591社中、増収企業が103社(前年度比28.0%減)、減収が267社(同21.9%増)、横ばいが221社(同3.5%減)。また損益が判明している256社のうち、黒字企業は、17年度が213社、18年度が212社(前年度比0.5%減)、19年度が188社(同11.3%減)と収益状況の厳しい企業がやや増えている。
資本金別で見ると、100万円以上1,000万円未満が243社と最も多く、1,000万円以上5,000万円未満が214社で続く。さらに個人企業他の107社と合わせると、資本金5,000万円未満が570社(全体の96.4%)となり大半が小規模な業者で占められている。
■倒産件数はハイペースで増加
2015年度以降における豆腐業者の倒産推移を見ると、18年度の12件が最も少ないが、毎年10件以上の倒産が続いている。最も倒産件数が多かったのは16年度と19年度の21件。
19年度は前年度比75.0%増と大幅に増えたのに続き、20年度は4月から7月までの4カ月間で8件の倒産が発生しており、このままのペースが続くと最高件数を更新する可能性もある。
豆腐業界を取りまく環境については、原材料となる大豆価格の安定や巣ごもり需要などがプラス要因となる一方、小売業界からの要請が原因の低価格競争、飲食業界の自粛にともなう需要の低下、後継者不足などのマイナス要因がある。
■後継者不足が大きな問題に
この他、豆腐製造業の施設数は1960年代のピーク時には全国で5万1,596施設あったが、2018年度には6,143施設と9割近くも減少(厚生労働省より)した一方で、生産施設の増強もあり豆腐や油揚げの出荷量は、17年度で2,809億4,000万円(経済産業省の工業統計より)と大きく落ちていないという。
また全国豆腐連合会によれば、製造業者の廃業ペースは16年度まで年間約500件ペースだったところ、18年度は420件に留まっているという。ただし経営者の年齢が70歳台後半にさしかかっているため、後継者不足が大きな問題となっているという。(記事:県田勢・記事一覧を見る)
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