日立、スペイン向け高速鉄道車両を受注 ボンバルディアとの共同

2020年8月13日 17:51

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納入する車両のイメージ。(写真:日立製作所の発表資料より)

納入する車両のイメージ。(写真:日立製作所の発表資料より)[写真拡大]

 日立製作所は12日、カナダのボンバルディア・トランスポーテーション社(ボンバルディア)と共同で、イタリアのトレニタリア社から高速鉄道車両「フレッチャロッサ1000」23編成を受注したと発表した。新車両は、2022年にスペインで運行を開始する予定。受注総額は約8億ユーロ(約998億円)で、そのうちのおよそ6割が日立の取り分となる。契約の締結はイタリアで10日に発表されている。

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 「フレッチャロッサ1000」は、現在ヨーロッパで運行する高速鉄道の中でも最高水準の速度を誇りながら、騒音も軽減しており、高い性能が評価されている。全長およそ200メートルの編成に460人の乗客を収容可能で、最高速度は時速約360キロ。2015年にイタリアで導入されて以来、快適でエネルギー効率も高いことから長距離移動者にも人気だ。

 今回受注となった新車両は、日立レール社とボンバルディアの共同により、イタリア国内で設計、製造される。新車両を運行するのは、両社が契約を受注したイタリアの鉄道運営会社トレニタリア社と、スペインの鉄道会社の合弁会社であるIntermodalidad de Levante社(ILSA)。スペイン国内で運行され、運行区間はマドリード‐バルセロナ間、マドリード‐バレンシア/アリカンテ間およびマドリード‐セビリア/マラガ間の3区間が計画されている。

 日立の鉄道事業に関しては、国外からも高い技術力が評価されており、2005年には日本の鉄道車両メーカーとして初めて鉄道発祥の地イギリスでの車両製造に参入した。大量輸送に優れ環境負荷を抑えることが可能な鉄道の利用は近年、自然環境への意識が高まるヨーロッパなどを中心として見直されてきている。一般の消費者からの関心も高く、日立は今後もヨーロッパ域内での事業の拡大を目指しており、今回の契約はその一環となる。

 日立の鉄道ビジネスユニットCEOであるアンドリュー・バー氏は、スペイン向けの鉄道車両の受注について、「スペインの高速鉄道サービス発展に貢献できることを期待している」とコメントしている。(記事:万嶋せら・記事一覧を見る

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