木星衛星ガニメデ表面から太陽系最大のクレーター見つかる 神大など

2020年7月31日 08:55

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ボイジャー2号(左)とガリレオ探査機(右)によって撮影された木星衛星ガニメデの地表面 (c) NASA

ボイジャー2号(左)とガリレオ探査機(右)によって撮影された木星衛星ガニメデの地表面 (c) NASA[写真拡大]

 太陽系最大の衛星である木星のガニメデ。神戸大学は27日、ガニメデから太陽系で最大のクレーターが発見されたと発表した。その大きさは、半径7800kmに及ぶという。

【こちらも】木星の衛星形成の謎、新モデルにより説明 米大学の研究

■衝突天体が説明するガニメデの多層構造

 木星の第3衛星であるガニメデの表面には、「暗い領域」と呼ばれる、クレーターが多く残る領域がある。ガニメデ表面の約3分の1を占める暗い領域の誕生は非常に古い。他方、クレーターがほとんど存在しない「明るい領域」は比較的新しい。暗い領域と明るい領域はガニメデ表面に分散して存在している。

 神戸大学、大島商船高等専門学校などの研究者らから構成されるグループは、暗い領域にある溝状の構造を解析した。米航空宇宙局(NASA)のボイジャーやガリレオ等の探査機が撮影した、ガニメデ表面の画像を再解析したという。

 解析により溝状の構造は、ある1点を中心に同心円状に分布していることが判明。ガニメデに衝突したクレーター周辺に、複数形成されたことを示唆するという。

 研究グループは、クレーターを形成した小惑星の規模をコンピューターシミュレーションで推定。その結果、半径150キロメートルの小惑星が秒速20キロメートルで衝突したとすれば、説明可能と言うことが明らかになった。これは、地球上の恐竜を絶滅させた15キロメートルの小惑星よりもはるかに大きい規模だという。

 巨大な小惑星がガニメデに衝突したことは、複雑な内部構造の形成過程を説明可能にする。第4衛星であるカリスト内部には層構造が存在しない一方、ガニメデには岩石、鉄、氷からなる層がそれぞれ存在する。こうした層構造が形成されるためには大量の熱が必要だが、ガニメデに衝突した小惑星が熱を与えた可能性があるという。

■ボイジャーも撮影したガニメデ

 ガニメデの撮影は、古くは1979~1980年のボイジャーによって実施された。宇宙航空研究開発機構(JAXA)もまたJUICE探査機を木星に打ち上げる計画がある。これにより、複数の溝状の構造が解明されるだけでなく、ガニメデに衝突した小惑星が残した跡について明らかになることが期待される。

 研究の詳細は、米Icarus誌にて15日にオンライン掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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