ソニーが株価1万円越えの切符か 走るスマホ・VISION-Sのテスト走行を初公開

2020年7月28日 18:23

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VISION-Sのコンセプトモデル。(画像: ソニーの発表資料より)

VISION-Sのコンセプトモデル。(画像: ソニーの発表資料より)[写真拡大]

 2020年初めに企業ニュースを総なめにしたソニーのEV・VISION-Sの試作車が、7月27日に満を持して国内デビューを飾った。敷地内とはいえ、実走するVISION-Sをメデイア上で初公開したのだ。ソニーは年内に公道でのテスト走行に入ると自信を顕わにもしている。無人の自動運転システム実用化が目前に迫った今、車載向け画像センサー部門で遅れをとるソニーが、シェア拡大へ急速なモーションをかけている。

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 株価においては、この7月にリーマンショック前の高値をクリアし、ITバブル時の最高値1万6590円に対し半値戻しを達成した。つまり、相場セオリーの『半値戻しは全値戻し』という段階に入ったのだ。今回のVISION-Sの試作車公開で、車載向け画像センサーのシェア拡大が現実味を帯び、いよいよ株価1万円が射程距離内に入ったと目される。

 VISION-Sの開発コンセプトは『はしるスマホ』である。癒やし系ロボット・アイボで技術力の高さを鼓舞したソニーは、『これからのメガトレンドはモビリティ』と断言し、無人運転車のキーコンテンツが『クルマのスマホ化』であると開発を進めてきた。そのためにモーターショーではなく、2020年1月のラスベガスIT家電ショー・CES2020でデビューさせている点もうなずける。

 Safety Cocoonベースの車載向けCMOSイメージセンサーには33個の多種センサーが実装され、360度のセンシングでハイレベルな安全走行を実現した。自動運転サポートの水準はレベル2といったところだが、5Gネットワークに対応させることで、緊急時対応可能なレベル4を早急にクリアするともしている。現時点では、スマートシティのモビリティシステムで確固たる地位を獲得する公算が高い。

 なお、日経新聞の記者がテスト走行に参加しているが、インパネに設置された3つの大型タッチパッド・ディスプレイをスマホ同様に指で操作していた。しかもソニーのエンターテインメント事業が車内で営業できる点にも注目したい。

 このようにソニーのビジネスモデルは、モビリティ・コンテンツの提供へと大きくシフトするのだが、世界中が促進するスマートシティ化政策とぴったり合致し、ソニーの快進撃を約束しているかのようだ。要するに、ソニーはVISION-Sプロジェクトにより、株価1万円越えの切符を手にしたと言っても過言ではないかもしれない。(記事:TO・記事一覧を見る

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