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オスとメスの違いを生むのはホルモンか染色体か? 遺伝学研らがゲノム技術で解明
オス(上)とメス(下)の成魚。オスにだけ特徴的な色(婚姻色)が確認される(写真:国立遺伝学研究所の発表資料より)[写真拡大]
オスとメスの違いは、行動や形態など多岐にわたる。国立遺伝学研究所は、動物のオスとメスの違いにおいて、性染色体の果たす役割が、発生・発達・成長段階で大きく変わることを解明したと発表した。
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■繁殖期にのみオスメスの違いを示す動物も
動物のオスとメスでは、形態や行動に多くの違いが存在する。トゲウオ科のイトヨは、稚魚のあいだでは形態や行動に違いはみられない。だが繁殖期になるとオスの体には色が現れたり、縄張りをもったり、求愛行動を示したりする。他方メスは繁殖期でも、こうした婚姻色が現れたり、固有の行動を示したりしない。
こうした形態や行動に違いがみられることは性的二型と呼ばれる。19世紀の英自然科学者であるチャールズ・ダーウィンは性的二型に着目し、より多くの子孫を残すための進化を説明するために性淘汰理論を構築した。
脊椎動物では、性の決定に関与する「性染色体」と「性ステロイド」と呼ばれるホルモンが性的二型を生み出す候補として考えられるが、どちらなのかについては進化生物学で長年論争が続けられてきたという。
■ホルモンの役割が大きい
国立遺伝学研究所と静岡大学の研究者から構成されるグループは、脳における遺伝情報(mRNA)で性差に関する性染色体と性ステロイドの役割を解析した。稚魚から成魚になると、性差を示す遺伝子の数は増えるが、性染色体の役割は相対的に低くなることが確認された。
一方、アンドロジェンと呼ばれる性ステロイドが応答する役割が増加した。これまでアンドロジェンの量がオスの成魚で増えることが知られているが、本成果はこれと合致するという。
今回の研究成果は、性染色体の役割が発達とともに変化していることを示唆する。当然だと考えられてきたことがゲノム技術により裏づけられたとして、研究グループは本成果の意義を強調している。
研究の詳細は、欧州進化学雑誌のJournal of Evolutionary Biologyに6月13日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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