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終活事業の多面化を図る鎌倉新書のいま
私は2018年11月2日の財経新聞:経済産業欄に『「終活」に便利な鎌倉新書のEC事業』と題する記事を投稿した。その中でも1行余り「家族葬といった新しい形が浮上しているが、対応は同社にとっても不可避な課題だろう」と指摘した。
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直近「どうなっているかな」と思い、久方ぶりに取材をした。
シンプルな葬儀志向の流れに対し鎌倉新書では、「家族葬のメリットデメリットを訴求するなど最適な弔い方を選択できる体制を整えている。また家族葬の受け皿として、お別れ会のプロデュースなどもしている」とした。
「お別れ会」はエンディングビジネスを担う同社には、新規事業。Web事業を軸に事業展開してきた鎌倉新書にとってはプロデュース事業。「家族葬に参列できなかった友人や知人が集まる場で、どんなお別れ会をするのが最もふさわしいのか」「概要・時期・人数・予算」等を、プロデューサーが直接提案して実現するという。
例えばこんなお別れ会が実行されていることを知った。故人は、元少年野球の監督。野球のグラウンドを模した祭壇を作り、始球式が行われたというのである。
清水祐孝社長は「従来の事業との相乗効果が期待される。ビジネスの展開の仕方は異なるが親和性が高い」とした。「いい相続」といった事業も立ち上げている。担当スタッフが葬儀後の相続について「専門家(士業)の紹介」にはじまり、諸々相談にのる。「その延長線上には、介護、保険、不動産に関する終活の悩み事が存在する。これらに網羅的に対応できる様々なビジネス展開を図り、総合的な『終活インフラ』企業へと舵を切る」としたのだった。
時流への備えぶりの確かさについてはこんな事実からも知った。
今年4月1日に企業産業欄に『若手女性社長が真摯に取り組む海洋散骨など「終活」』という見出しの記事を掲載した。
詳細は省くが、07年に村田ますみ氏が設立したハウスボートについて記している。「クルーズ船での海洋散骨サービス」で急成長中野企業である。200社超の葬儀社とネットワークを結んでいる。そんなハウスボートを鎌倉新書は傘下に収めていた。打つべき手は着実に打っている証しといえる。
足元の課題として、新型コロナウイルス感染者の死去の葬儀の在り方がある。既にこんなオンラインサービスを提供してもいる。「いいお墓:オンラインお墓見学・相談サービス」「いいお坊さん:オンライン法要」「遺産相続なび:オンライン三者面談」「いい仏壇:オンライン店舗見学・相談サービス」。
仏事にかかわる「ポータルサイト」の積極的な展開で頭角を現してきた鎌倉新書はいま、新たな位相への止揚を図ろうとしている。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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