関連記事
コロナ禍の収束に備えるビーロットの戦略
(画像: ビーロットの発表資料より)[写真拡大]
ビーロット(東証1部)の事業は「不動産開発」と「投資用不動産仲介」が中軸。前者は中古ビルやマンションをリニューアルするなど価値をつけ、転売する。後者は富裕層を主にした投資用不動産の売買仲介・コンサルティング。またホテル開発にも進出している。
【こちらも】菓子関連EC企業cottaのBtoC注力の現状と理由
前3月期の「24%増収、20.5%営業増益、10円増配60円配」に続き今期も、「19.4%の増収(300億円)、24.9%の営業増益(49億7000万円)」計画でスタートした。今期計画を含む5期間の平均営業増益率は46.6%。今期計画にも見て取れるように、斯界にあっては営業利益率が高い。この限りでは「ご健闘を」で様子見姿勢にとどまる。
が、4月30日にこんな配信に接し俄かに興味を抱いた。「投資運用業のライセンスを持つLCパートナーズと傘下のメディカルアセット投資法人を、連結子会社化。取得価額は約2億円」。
ホテル開発にも進出、と前記したが前期決算の開示に際しこう解説している。「2017年にM&Aで取得したヴィエイトクリエーションが保有するカプセルホテルの商品化が完了。貢献した」。こうしたM&Aを介した経営戦略を今後も執る姿勢が、前記の配信にも見て取ることができる。
コロナウイルス禍に伴う経済の停滞、インバウンドの激減という中で不動産業界は総じて先行きに不透明感を抱えている。対してビーロットでは、こう語っている。
「LCパートナーズのM&Aでは、当社の『地域社会への貢献』という企業文化と融合させていく。メディカルアセット投資法人では当社が保有するパイプラインを活用し、まず3年で500億円、5年で1000億円のAUM(運用資産残高)を目指す。」
ただし、コロナウイルス禍等の影響に関してはビーロットでも「観光業・飲食業は壊滅的な影響を受け、主にホテルや飲食店が入居する収益不動産へ実質的な影響が出始めている。また海外投資家も同様に動きが取れずマーケットの様子見状態にあり、対日投資の減少など不動産投資市場に影響が出ている。当社でも事業の見直しを含め修正せざるをえないプロジェクトも出てくるという認識でいる」とする。が、同時に先々について、こんな読み方も示している。
「だが悲観的な見方ばかりしていては、次に備えられない。インバウンドにしても投資家動向についてもコロナ禍の収束方向が見えてくれば回復の可能性が強い。また今回、メディカルアセット投資法人(医療・介護施設主体のJ-REIT運用)を傘下に入れたのも次の時代を視野に入れたため。」
アフターコロナを見据えたビーロットの戦略を、読者諸氏はどう捉えるだろうか。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
スポンサードリンク