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不動産賃貸業界の新たなスタンダードへ 賃貸入居の面倒な手続きをワンストップ化
積水ハウス ブロックチェーンで賃貸入居の一連の手続きをワンストップ化[写真拡大]
新型コロナ禍の影響で、様々な手続きや事務的な作業をできるだけオンライン上で済ませて、接触機会を減らそうとする意識が強くなっている。それに伴ない、トレーサビリティやスマートコントラクト、本人確認などについて、強固なセキュリティを誇るブロックチェーン技術への関心も高まっている。
ミック経済研究所が今年1月に発刊したレポート「大きく活用用途広がるブロックチェーン市場の現状と展望 2019年版」によると、2018年度に53億円だったブロックチェーン市場規模は、19年度には95億円へと増加する見込みだ。同市場は今後、年平均成長率66.4%で成長し、24年度には1130億円に達すると予測しているが、コロナ禍の影響でさらに加速することも考えられるのではないだろうか。
そんな中、住宅メーカー大手の積水ハウスが進めている、ブロックチェーン技術を用いた新しい試みが、注目を集めている。積水ハウスは、2020年4月に立ち上げられた、企業間情報連携推進コンソーシアム「NEXCHAIN(ネクスチェーン)」に参画しており、このブロックチェーン技術を活用して、同社の賃貸住宅「シャーメゾン」への入居希望者に対して、賃貸物件の内覧、契約手続き、生活インフラの契約など、一連の手続きをワンストップ化した業界初のサービスの実現に向けて取り組んでいるのだ。
賃貸に限らず、不動産の取引時には、とにかく必要な書類が多い。身元確認を目的とした本人確認が必要なため、仕方がないとはいえ、物件の内覧や契約手続きに始まり、固定通信や電気、ガスといったライフラインの契約や住所変更手続きなど、何度も何度も、本人確認書類の提出や書類の記入を要求される。その煩わしさに辟易した経験を持っている人は少なくないだろう。ブロックチェーン技術を用いた当サービスでは、顧客がPC、スマートフォンからシステムに登録済みの本人情報を使って、現住所や電話番号などの入力作業を効率化でき、これまでの煩わしい作業が劇的に簡略化されるのだ。
また物件の内覧も、スマートロックでワンタイムパスワードを発行すれば、不動産仲介会社の立ち会いが不要となり、内覧希望者の都合優先で内覧を行える。顧客が便利なだけでなく、不動産仲介会社にとっても、予定を空けて立ち会う必要がなくなるため、業務の効率化にもつながる。
これらは、日立製作所、KDDIなど18社が参画する同コンソーシアムのブロックチェーン技術を活用し、顧客の同意のもと,情報を企業間で連携して利便性の高いサービスを受けられる仕組みを確立していることにより実現できるという。それもこれも、ブロックチェーン技術が構造的にデータの改ざんが極めて困難という優れた特性を持っているからだ。
積水ハウスでは、業界初のこのシステムを業界の新たなスタンダードとして構築することを目標に、2020年度中の運用開始を目指しているという。
不動産業界に限らず、ブロックチェーン技術を活用することで、こういったサービスの提供は他の業種でも応用が可能だろう。日本政府が掲げる新たな社会像「Society5.0」の社会実装に必要不可欠な技術なだけでなく、これがさらに発展し、社会に浸透していけば、企業間でのスマートな情報共有が行われ、業種の垣根を越え、個人、企業双方に有益な新たなサービスも創出されるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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