アルコニックスは戻り試す

2020年5月28日 09:05

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 アルコニックス<3036>(東1)は商社機能と製造業を融合する「非鉄金属の総合企業」を目指している。21年3月期減収減益予想である。当面は新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響を受けるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は3月の安値圏から反発して水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■商社機能と製造業を融合する「非鉄金属の総合企業」目指す

 軽金属・銅製品(伸銅品、銅管など)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う非鉄金属商社グループである。

 商社機能と製造業を融合する「非鉄金属の総合企業」を目指し、M&Aも積極活用して、非鉄金属の周辺分野も含めた川上(製造)~川中(流通)~川下(問屋)を網羅するビジネス展開を推進している。

■製造が利益柱

 20年3月期セグメント別売上高構成比は、商社流通79%(電子機能材30%、アルミ銅50%)で製造21%(装置材料11%、金属加工10%)だが、経常利益構成比は商社流通14%(電子機能材2%、アルミ銅13%)で製造85%(装置材料7%、金属加工78%)だった。

 レアメタル・レアアースなど非鉄金属の市況、持分法投資損益、M&Aに伴うのれん償却や負ののれん益なども収益変動要因となるが、積極的なM&Aによって、利益面では製造、特に金属加工が柱となっている。

 中期経営計画(21年3月期~23年3月期、1年ごとに見直すローリング方式)では、経営目標値を23年3月期の経常利益87億円超、純利益60億円超、ROE13~15%程度、NET/DER1.0~1.3倍程度としている。3年間の投融資総額はM&A・事業投資を中心に250億円~300億円としている。商社機能と製造業を融合する「非鉄金属の総合企業」を目指して積極投資を推進する方針だ。

 18年12月摩擦調整材カシューパーティクルを製造販売する東北化工を連結子会社化してブレーキ関連市場に参入、19年2月カーボンブラシを製造販売する富士カーボン製造所を連結子会社化、19年7月メキシコFNA社の自動車部品用精密金属プレス部品事業をメキシコFUJI-MX社が譲り受けて営業開始、19年10月香港でリチウムイオン電池材料事業の合弁会社を設立、19年11月中国で建設用仮設資材の輸入・製造・販売の合弁会社を設立、20年3月連結子会社の平和金属を完全子会社化した。

■21年3月期は新型コロナウイルス影響で減収減益予想

 20年3月期連結業績は、売上高が19年3月期比9.8%減の2322億42百万円、営業利益が17.3%減の51億76百万円、経常利益が13.4%減の54億16百万円、純利益が9.8%減の36億17百万円だった。配当は19年3月期比3円増配の42円(第2四半期末21円、期末21円)とした。

 全体として需要減速の影響を受けた。商社流通―電子機能材(88.8%減益)はレアメタル・レアアースの需要が減少し、たな卸資産評価損計上も影響した。商社流通―アルミ銅(32.3%減益)は自動車や半導体関連の需要が減少し、天候不順で空調機器関連も低調だった。非鉄市況下落も影響した。製造―装置材料(33.7%減益)はメッキ材料が低調に推移し、新規連結の富士カーボン製造所の業績が自動車関連の減少で計画を下回ったことも影響した。製造―金属加工(7.7%増益)は実装機器関連の精密研削加工部品が好調だった。

 21年3月期の連結業績予想は、売上高が20年3月期比9.6%減の2100億円、営業利益が24.7%減の39億円、経常利益が26.2%減の40億円、純利益が33.7%減の24億円としている。また配当予想は20年3月期と同額の42円(第2四半期末21円、期末21円)としている。

 当面は新型コロナウイルスによる世界経済収縮の影響を受けるが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は3月末の株主対象

 株主優待制度は、毎年3月末時点の株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じて贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は戻り試す

 3月27日発表の自己株式取得(上限80万株・8億円、取得期間20年4月1日~20年10月31日)については、20年4月30日時点で累計取得株式数が14万7700株となった。

 株価は3月の安値圏から反発して水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。5月27日の終値は1263円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS93円59銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の42円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1578円62銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約327億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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