マツダ、ホンダ、日産、生き残れるのか? (10) 「集団免疫」確保までの道のり

2020年5月27日 12:16

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 トヨタが見せる自信はTNGAによるところだが、真に壮大なシステムで、開発開始から半世紀以上の時が経っている。自動車をあれこれ批評することが自動車ジャーナリストの仕事だが、全く表面的結果を知っているに過ぎない。「いいクルマをつくろうよ」とトヨタは社員に呼びかけているのだが、倒産の危険がある時に、造ったこともない人間が分かったふりして批評するのにはうんざりだ。

【前回は】マツダ、ホンダ、日産、生き残れるのか? (9) トヨタが見せる自信の裏付けは?

 毎日、どのメーカーも操業開始以来、血の出るような努力を現場で重ねて造り上げているので、投資感覚で経営するなどもってのほかだ。COVID-19のパンデミックでテスラのような投資騒ぎが収まることを期待したい。『造り方を知らずにクルマを語るな』である。

 パンデミックを乗り越えることを基礎に据えて議論しないと、全ては無意味な時だ。そのキーポイントが「造り方」にあるのは当然だ。これをよく理解するべきだ。各社、資金は間もなく枯渇し借金をするしかない。

■「集団免疫」確保までの道のりから、トヨタの営業計画は守れない

 感染症が収束するには「集団免疫」を得るしかないのだが、これにはワクチンによる免疫でも良いわけだ。そして、経済活動をフルに再開できる「集団免疫」が出来るには、60~70%の国民がワクチン接種を含めて感染している必要がある。

 そのため経済復興を目指し必要な「集団免疫」獲得をするため、ワクチンがない場合、医療崩壊しない程度のペースで感染者を出していく必要があるのだが、それには3~4年間ほどかかると見込まれる。

 しかし、それではトヨタの2020年度の営業計画を守れるはずはない。そこで、「集団免疫」を自然獲得するのではなく、早めるために「感染を補うワクチン開発を急ぐ」必要がある。

 だがワクチン開発に成功した時から、大量生産して、一般国民が投与を受け終わるまで1年で済むはずはない。すると数年間、防疫の方策としては「隔離」しかない。「都市封鎖(ロックダウン)」が世界で効果を示しているが、それでは経済が死滅してしまい継続は難しい。すると現状では、【感染者だけを隔離する】方策しかないことに気が付くはずだ。

 「感染者だけを隔離する」ことで「経済と防疫」の両方を解決するには、【早期の検査を増やし、陽性者を早期に発見し、確実に隔離する】しかない。症状がない段階や無症状でも感染力があり、またこれまで検査で陽性となった人数の何倍もの無症状キャリアがいるとなると、中国武漢で行われているような無作為の全員検査しかなくなる。

 だがこの手段をとると、【「多くの擬陽性者」も隔離することは現実的ではない】と反論が出ることとなる。しからば、「退院検査」の時と同じように2回検査をすることだ。少なくとも2回連続「陽性」は、各種データから言われているPCR検査の擬陽性率から考えて、症状がない場合でも確定診断と考えても良いはずだ。

 一方では「抗原検査」が実用化されるようなので、不特定多数を対象とする「無症状の場合」の検査でも、両検査の組み合わせによって夢物語ではなく実現が可能であろう。こうした努力を積み重ねないと、トヨタの『夏には市場が回復してくる』と言う今期予測ストーリーも実現できない。

 これに備えるには「借金」しかないのでは情けない。勝負は「造り方」にあるが手遅れだ。すなわち今からでは「借金」と「リストラ」しかないこととなる。リストラを発表するメーカーは日産が一番先になると思うが、フランスの支配に入らないのであれば、独自の資金手当ての見込みがあるのであり、日本人としては歓迎だ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

続きは: マツダ、ホンダ、日産、生き残れるのか? (11) トヨタが今期決算予測を出したことの意味

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