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AIテクノロジーによる超管理社会 (1) 中国の「デジタル・レーニン主義」が台頭
今、世界では激しい情報空間での戦いが起きている。WIREDによれば、EUは「尊厳」を求め、アメリカは「自由」であり続けることを、中国は「共産」主義を続けることを基軸として、ルール確立を目指し三つ巴で争っているという。その中で、日本は「インクルーシヴなAI」を目指すべきと提案している人物がいる。憲法学者の山本龍彦氏だ。
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「企業か、国家か、それとも個人か」、優先すべきはどれなのか?太平洋戦争終結後70年余りを過ごして、「今更、考え直すのか?」と言うのが感想だ。日本は、少なくとも建前は個人主義のはずだった。
■超管理社会=「デジタル・レーニン主義」の表れ
WIREDの記事によれば、法学者の大屋雄裕氏は、テクノロジーによる超管理社会=「デジタル・レーニン主義」が表れてきたという。レーニンと聞けば、即座に共産主義ソビエト連邦を思い浮かべ、マルクス・レーニン主義を思い浮かべる。
人類の壮大な実験とも言われて、崩壊していく共産主義と感じていたら、現在中国が共産党1党独裁を続けながら、資本主義経済で経済発展を遂げた。社会制度としておかしなことになってきたものだと戸惑っていたら、今度は価値観の混乱とも思われる「デジタル・レーニン主義」なるものを見せられている。
日本の「個人情報保護法」はEUの圧力、いやむしろEUが日本と付き合っていくにあたって、「個人の権利をないがしろにしすぎる日本の社会」というEUの懸念が強く日本に働いたため、日本政府が動いて立案、成立したと聞いている。
日本社会の「和」を重んじる文化では、「EUほどの個人の尊厳は貴ばれない」ので、個人情報保護法の成立後、日本社会との整合性が取れないためにおかしなことが身の回りの社会で起きている。つまり、日本人にとっては「個人の尊厳」の意味が理解できないでいるのだ。
アメリカでは伝統的に自由が貴ばれ、自由に競争することこそ貴重な権利であるとの認識だ。その代わり、健康保険や労働者の権利など社会保障の概念が遅れている様子だ。
不況が来れば「レイオフ」になりやすく、失業者が社会にあふれてしまう。このパンデミックでも失業者が急増し、給付金だけでは社会の秩序を保てないほどの事態が迫っている。そのためにロックダウン停止に向けた圧力が、日本社会とは比べものにならないくらい激しくなってきている。
一方、中国は明らかに全体主義で、個人の尊厳は後回しだ。感染対策、つまり日本のクラスター追跡と同じように、個人の行動を追跡して感染を封じ込める対策のためなら、個人の行動の全てを監視することも当然としている。
ITシステムで個人の行動全てを監視している状態であり、「デジタル・レーニン主義」と表現するに適した状況だ。現在、日本の国会では検察庁法改正案が審議されているが、そこで問題視されている部分は「デジタル・レーニン主義」では当然となっている。つまり、『現在から将来の国家権力が、個人の基本的人権も侵すことが出来る』ステムになっていることすら許容している。
続きは:AIテクノロジーによる超管理社会(2) 「インクルーシヴなAI」(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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