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世界に先行してレベル3自動運転法制化 乗用車のみ解禁? また法律の立て付けか?
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2020年4月1日、日本の道路でレベル3の自動運転車を走らすことが出来る法改正が施行された。
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レベル3の自動運転とは、定められた条件下で、AIによる運転に委ねても良いということだ。しかし、レベル3の条件では、「運転の責任は基本的に運転者」にあり、AIからの運転引き継ぎ要請があれば、すぐに運転動作に復帰できなければならない。
レベル3運転中にスマホなどを見ることが出来るようだが、ドライバーとしては、いったん運転から注意を外してしまうと、すぐに復帰できる自信が持てないのが本音のところだ。
今回の法整備で、「道路交通法」と「道路運送車両法」、さらに関連する省令や告示、すなわち「道路運送車両の保安基準」(省令)と「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」(告示)が改正されたのだ。2020年4月1日の施行でそろったこととなる。
ところが、今回のレベル3自動運転では、実質的に乗用車に限定される結果となっている。それは、「別添技術基準」で告示からさらに踏み込んで詳細の要件を定めることとなっている。
別添122:【高速道路等における低速自動運行装置を備える自動車の技術基準】で、【専ら乗用の用に供する自動車であって、乗車定員10人未満のもの及び貨物の運送の用に供する自動車であって、車両総重量が3.5t以下のもの(一部例外の規定あり)】としてしまっているため、結局のところ、もっとも自動運転が出来ると有意義となる大型トラックには適応されないのだ。
もっとも、解禁されたのは「車線変更を伴わない高速道路での同一車線内の低速走行(60km以下)時」であり、乗用車にしてもそれより速い高速走行や追い越しなどは自動では運転できないので、ほとんど意味はない。これは技術的進歩を待つしかないので仕方のないところだが、「解禁」とは言えないのではないか?
現在の法的内容で問題とすべきは、自動運転技術の「5段階のレベル分け」において、乗用車と大型トラックを差別する必要があるとは思えないことだ。人間の運転免許では、普通免許と大型免許で大きな違いが感じられる。それは、車体の大きさにより運転感覚が大きく変わるからで、同一の教習で免許を与えることは大多数の人は賛成しないであろう。
しかし、AIによる自動運転技術であれば、AIが学習していく過程で車体の大きさが障害になるとは思えないのだ。AIの特性とシステムを考えると、センサーで捉えた条件を解釈する考え方は大きかろうと小さかろうと共通であり、乗用車で育ったAIが大型トラックを運転するには大きさと重量の違いで動作を変えるところであろうか?
あるAIの実験にあるように、レースのコーナリングをするのであればともかく、日常の街中と高速道路での運転では共通の教育で済むはずである。
今回の法整備においても、乗用車と大型トラックで免許を区別してしまう考え方は、これまでの人間の運転免許制度に倣う「法律の立て付け」によるものではないのか?しかし、自動運転のような新しい技術普及には、それを先導する国のリーダーの理解力が重要であることは知れている。
だが、新型コロナウイルス感染拡大対策でも、幾度となく見せられた「法律の立て付け」を優先して「後手に回っている」状態から見ると、今回の法整備も「やはり」と納得するしかない。自動運転技術の進歩に従って、法改正においても「立て付け」を改正する必要があるはずだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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