つみたてNISA、口座数増加 ネット証券4社は1年で倍増に

2020年5月2日 09:48

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 金融財政事情研究会は、3月末時点におけるインターネット証券会社4社(SBI証券・楽天証券・マネックス証券・auカブドットコム証券)を利用したつみたてNISA口座数が、この1年で倍増したと発表した。4社のつみたてNISA口座数を合計した数値は、1年前の約43万件から、約87万件とほぼ2倍に増加している。

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 なお、金融庁が速報値として発表しているつみたてNISA口座の利用状況によると、2019年12月末のつみたてNISA口座数は約188万件。2018年12月末のつみたてNISA口座数は約103万件だったため、直近1年で約85万件の口座が増えたことになる。なお、つみたてNISAは1人に対し1つの口座しか開設できないため、口座数は利用者数と置き換えることができる。

 つみたてNISA口座数が顕著に増加している背景として、2019年6月に金融庁ワーキンググループが発表した「老後資金2000万円不足報告書」の存在も考えられる。

 同報告書では、具体的な老後資金作りの例として、iDeCo(個人型確定拠出年金)と、つみたてNISAを挙げている。この2つは、いずれも税制面の優遇を受けることができ、主に老後資金対策として長期的に運用する商品として相応しい。

 つみたてNISAとは、販売手数料が無料である等、金融庁が一定の基準を設けて審査を行い、その基準を満たした商品の中からのみ選んで購入する仕組みである。安定した長期運用を目的とした制度であることから、一時的な株価変動などの影響を受けにくいとされている。少額から始めることができるため、初心者にも人気の資産運用商品である。

 近年インターネットで簡単にNISA口座開設や、運用ができるようになったことも、今回の増加の一因であると推測される。特に若い世代では、金融機関の窓口が稼働している時間帯に手続きを行うことは難しく、インターネットで手続きが完結する証券会社を選ぶことが多い傾向にある。実際に各社から発表されているデータでも、20代の利用者数増が顕著であることがわかっている。

 2018年に新設されたつみたてNISA制度。老後資金に対する不安や、コロナ禍での不安定な経済状況の後押しもあり、今後も顕著に口座数が伸びていくと推測される。さらに、ネット証券での口座開設は対面で行う必要がなく、新型コロナウイルス感染拡大予防のため在宅を余儀なくされている消費者でも、在宅のまま口座開設ができることは強みである。(記事:大野 翠・記事一覧を見る

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