新型コロナでも、新入社員の門出を祝いたい 企業の思い

2020年4月12日 17:28

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記事提供元:エコノミックニュース

全国各地で入社式の中止が相次ぐ中、恒例のカンナ掛け入社式を「分散型」で実施したアキュラホーム。ロボットによる非接触の辞令交付などの工夫を凝らし、新入社員の門出を祝った。

全国各地で入社式の中止が相次ぐ中、恒例のカンナ掛け入社式を「分散型」で実施したアキュラホーム。ロボットによる非接触の辞令交付などの工夫を凝らし、新入社員の門出を祝った。[写真拡大]

新型コロナウイルスによる混乱が続く中、新年度が始まった。株式会社ディスコが新卒で就職先企業が決まっている学生399人を対象に実施した緊急調査 によると、 調査期間の3月16日~19日の時点で、入社式の中止が伝えられていると回答したのは46.5%、 規模縮小が26.4%だった。これ以降、直前になって中止等の連絡を受けたであろうことも考えると、多くの企業が今年の入社式を見送った、もしくは規模を縮小するなどの対応をしたことが窺える。

 しかし、こんな困難な状況下にあっても、若者たちの一生に一度の門出を祝おうと、工夫を凝らした企業も多い。

 たとえば、伊藤忠商事では入社式は中止したものの、「精一杯、祝ってあげたい」との思いによる岡藤正広会長の発案から、本社玄関ホールにレッドカーペットを敷き、何と岡藤会長と鈴木善久社長自らが、新入社員の一人ひとりを出迎えるというサプライズ演出を行った。

 また、リコーでも新入社員が一堂に会する従来の入社式を中止した代わりに、新入社員約170名の出社時間を少しずつずらし、それぞれに1分間ずつ、山下良則社長が言葉をかける「個別入社式」が実施された。

 大企業になると、会社のトップに直接声を掛けられるような機会は滅多にない。新入社員ともなれば尚更だ。そういった意味では、異例ではあるものの、今年の新入社員たちにとっては忘れられない、貴重な入社式となったのではないだろうか。

 異例の入社式といえばアキュラホームの入社式だ。同社は毎年、大工出身の「カンナ社長」こと、宮沢俊哉社長が、新入社員を一堂に集め、カンナ削りを直接伝授するユニークな入社式で知られているが、本年度は新型コロナウイルス感染拡大の社会状況を踏まえ、115名の新入社員を一ケ所には集めず、 配属先の全国17拠点に配置。中継で結ぶ「分散型入社式」を開催した。

 恒例の社長直伝のカンナ削りも、中継を介して全国各拠点全ての新入社員が順次体験した他、同社が日本の住宅メーカーの初の試みとして展開している無人住宅展示場で活躍する案内ロボット「ゴーカンナくん」による非接触の辞令交付が行われた。また、各会場の様子を動画配信サイトのYoutubeでライブ配信し、家族や社員も視聴できるようにしたことろ、父兄にも好評だったという。

 また、今年目立ったのは「Web入社式」だ。たとえば、トヨタ自動車も自社運営のネット媒体「トヨタイムズ」を利用して、Web上で入社式を開催。元米大リーグのイチロー選手からのメッセージなどを配信した。

 新型コロナウイルスの蔓延でネガティブなニュースばかりが続いているが、この先行きが見えない状況の中でも、工夫や努力で少しでも明るく乗り越えようと頑張っている企業もある。感染拡大を防ぐために不要不急の外出を控えたり、手洗い、うがい、消毒などの徹底はもちろんだが、あまりネガティブになりすぎると、精神面が持たなくなってしまう。感染に充分気をつけながらでも、明るい社会を継続するために、工夫と発想次第で、出来ることはまだまだあるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)

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