保護者も知っておきたい大学3年生の就職活動と不安

2020年3月23日 10:59

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 新しく大学3年になる学生にとって、4月は長い就職活動の始まりを意味します。といっても、具体的に書類選考や面接があるわけではありません。そこで、あらためて3年生の就職活動スケジュールをおさらいするとともに、保護者がサポートすべき点とその方法について、2回シリーズで考えてみたいと思います。

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 今回は就職活動のスケジュールと3年生の注力ポイントについて、次回は保護者によるサポートについて取り上げます。


 表1:大学3年生の就職活動スケジュール

■就職活動スケジュールについて

 表1は、大学3年生の就職活動に関するごく一般的な年間スケジュールです。赤色文字は具体的な就職活動を示します。現在の慣行では、3年生の3月(来年の3月)には事実上選考が開始されることになるのですが、近年では、直前の冬季インターンシップも選考プロセスの一部とする企業が増えてきているようです。

 学生はこうした企業の選考スケジュールに照準を合わせて準備を始めることになります。就職活動の準備は、希望の職種や応募先企業を選ぶ「目標選択」のプロセスと、「選考通過」のためのスキルを高めるプロセスにわけることができます。大学のサポートは、前者に対してはインターンシップの実施や社会人・先輩との交流会が行われ、後者については自己PRや志望動機の書き方、面接やグループディスカッションの対策講座などが実施されます。

■大学3年生の持つ不安

 これだけサポートメニューが用意されていても、学生の不安や悩みは尽きません。最も深刻な悩みは、応募先の絞込みとその理由ではないでしょうか。

 リクルートワークス研究所の調査によれば、今年4月入社の求人数は80.5万人で、そのうち従業員数5千名以上の大企業は5.18万人でした。就職希望者は12.3万人ですから、求人倍率は0.4倍ということになります。

 テレビCM等各種メディアで見聞きしたことのある企業に応募しても、内定を得る可能性は低くなることを学生は肌で実感しています。知名度の低い企業に目を向けても、関心が持てず、志望動機が思うように書けません。加えて、選考で何が評価されるのかわからないため、確信の持てる対策をとることが困難です。こうして不安は増大していきます。

■保護者は対話を通じて間接的にサポートを

 就職活動期の子を持つ保護者は、あまり口出しをせず、見守るべきと書かれていることが多いようです。しかし、対話することで子の悩みが少しでも解消するのであれば、協力したいのが親心ではないでしょうか。

 あまり出過ぎずに対話する例をあげてみます。旅行会社は、パックツアーの販売をしたり旅券の手配をしたりしますが、顧客にはサービスと同時に夢を売る仕事です。同様に、高速鉄道は時間と快適さを提供する仕事です。介護の仕事は、家族以上にお世話をすることによって安らぎを与える仕事です。

 学生は社会経験が浅いので、いきなりこうした視点で仕事や業界を観察することは苦手ですが、社会経験を倍以上積んでいる保護者は、比較的容易に考えつくことができます。そこに、保護者が関与する意味があると思われます。日ごろからこうした会話を重ねていれば、夏休み前には今より広い視点で社会を見ることができるようになると思います。

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