カーディーラー営業も新型コロナ感染 誤った甘すぎる認識は危険

2020年3月18日 18:42

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 自動車ディーラーのスタッフが新型コロナウイルスに感染していたことが判明し、営業活動を休止しなければならない事態が近づいてきた。3月12日、メルセデス・ベンツ和歌山のスタッフが新型コロナウイルスに感染したことを、メルセデス・ベンツ日本(MBJ)の正規代理店シュテルン和歌山が発表した。3月13日から3月27日まで、併設カフェレストラン「キュッヒェ」を含めたシュテルン和歌山、メルセデス・ベンツ泉佐野が営業休止に追い込まれた。

 シュテルン和歌山は感染拡大を防止し、顧客と従業員の安全確保を行うために、保健所の指示を受けて店舗の消毒や濃厚接触者6名のスタッフのPCR検査など、対応策をすぐに実施した。現在のところ、検査結果はいずれも陰性であることが確認されている。

 自動車ディーラーに限らず、あらゆる営業行為では感染拡大の危険があり、防止策を適切に行っておく必要がある。シュテルン和歌山の行動は適切であると言える。

 しかし、ある「感染者を診察した街の医院」においては、感染の危険を避けるため、しばらくの間「薬の配布のみ」に限定したところ、「コロナ医院」など誹謗中傷が行われるなどの行為が起きている。これは、まことに間違った認識である。

 その医院は、診察時に医師自身やスタッフに感染した危険を考慮して保健所にPCR検査を申し入れた。しかし、保健所に拒否されたことなどから、その後、他の患者に感染させないため「当分の間、診察を休止した」のだ。それが「感染元」のように伝えられた。

 当該保健所は、「マスクをしていたので濃厚接触者とは言えない」として検査を拒否しているが、マスクが「防疫策として完全でない」との認識が広まっている中での判断だろう。「感染が確認されたら、症状がなくとも隔離入院」との法的定めは現在解除されており、「軽症者を入院させて医療崩壊を招かないため検査拒否」はありえない判断だ。

 大阪府のシステムを参考にすべき時だ。国や地方自治体は、早急にシステムを整えることをすべきで、誤認は許されない。

 また、「珍しいもの」のように写真を撮りに来る者などがいるが、感染者、感染場所などは、既に市中に蔓延していると考えなければならず、このような他人事のような間違った危機感は「愚か」としか言いようがない。

 専門家と称する医師資格を持つ者が、「やたらにPCR検査をすればよいものではない」、「検査を増やせば医療崩壊する」などと堂々とマスメディアで説明する姿が見られる。だが検査は感染の「実態把握」のために必要なことと言えるのであり、こうした実際を捉えたデータなしに国や自治体の対策が決定されていくことを懸念しなければならない。

 明確に「疫学的データ」と「医療のための検査」の認識を分けなければならない。新型コロナウイルス対策のためにも、MR(市場調査)のような地方ごとのサンプリング調査が必要だ。

 その上で、「医療崩壊」を起こさないシステムの構築を急がねばならず、「致死率3%」の日本の状況は正しく表示されていないことを認識すべきだろう。ドイツは致死率「0.2%」だが、6千人以上の感染者を出している時点でのことだ。日本は1千人にも達していない。母数の違いを認めるべきだ。

 また、大阪府が組み立てた「トリアージ」のシステムはドイツの考え方に似たもので、全国で速やかに、地域性を考慮してアレンジして同じ動きを採ることが望ましい。疫学的調査は地域でサンプリング調査すべきで、治療のための調査は、医師の判断の元で必要な人すべてに行う。陽性と判明したなら、大阪府が計画しているシステムのようにトリアージを行い、4段階の対策のどのレベルで対処するべきかを判断すべきだ。事態は命に関することであり、まだまだ政府を含めて日本国民全体の認識は甘いと言えるだろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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