寿命が15倍の超薄型有機太陽電池を開発 高効率化も実現 理研

2020年3月14日 16:39

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高いエネルギー変換効率と長寿命を両立させた超薄型有機太陽電池(写真:理化学研究所の発表資料より)

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 再生可能エネルギー普及のため、発電コストを抑えた新しい太陽電池の開発が急務になっている。有機太陽電池は、シリコンなど無機物を用いた従来の太陽電池に対し、フレキシブル性や低コスト、軽量等の特徴をもつことから近年注目されている。理化学研究所(理研)は10日、従来比で15倍の寿命をもつ超薄型有機太陽電池の開発に成功したと発表した。困難だったエネルギー変換効率向上との両立が克服されたという。

【こちらも】フレキシブルで軽量な有機太陽電池、発電効率向上の鍵を解明 分子科学研

■低コストに貢献する有機太陽電池

 太陽からのエネルギーを電気エネルギーへと変換するのが太陽電池だ。光を吸収し電気へと変換する層の材料によって、無機太陽電池と有機太陽電池とに分類される。

 従来のシリコン型太陽電池に比べて、有機太陽電池は薄膜化可能なため、ウェアラブルセンサー用の電源としての応用が期待されている。とくに厚さが数マイクロメートル程の超薄型有機太陽電池は、違和感なく服や身体に貼ることが可能だという。

 一方で超薄型有機太陽電池には、高いエネルギー変換効率と長寿命という特性を両立させることが困難、という問題があった。水蒸気や酸素といったガスの侵入を遮断する「ガスバリア性」の確保が、有機太陽電池では難しかった。

■3000時間経っても劣化しない有機太陽電池

 理研の研究グループが開発した超薄型有機太陽電池は、厚さが3マイクロメートルであるだけでなく、エネルギー変換効率は13%を実現した。大気中に3,000時間晒しても95%以上のエネルギー変換効率を維持可能だ。従来の有機太陽電池と比較し、寿命が15倍に伸び、エネルギー変換効率も約1.2倍に向上した。

 高いエネルギー変換効率と長い寿命を両立させるために、熱安定性に優れた「PBDTTT-OFT」と呼ばれる半導体ポリマーが用いられた。また炭素の同素体であるフラーレンからなる誘導体から、非フラーレン誘導体へと材料を変更することが、長寿命化実現に貢献したという。

 研究グループは、本研究成果により、ウェアラブルデバイスやソフトロボット用デバイスへの応用が期待できるとしている。

 研究の詳細は、米アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)に10日、掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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