NYの視点:世界各国の金融・景気支援策に期待、新型肺炎による下方リスクが深刻化

2020年3月3日 07:45

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記事提供元:フィスコ


*07:45JST NYの視点:世界各国の金融・景気支援策に期待、新型肺炎による下方リスクが深刻化
新型肺炎の世界中の蔓延が経済に害を与えるとの脅威が根強い。警戒されたとおり、中国の2月製造業PMIは過去最低に落ち込んだ。サプライチェーンの混乱による米国の製造業への被害も不可避。その証拠が出始めた。

民間マークイットが発表した米国の2月製造業PMI改定値は50.7と、予想外に速報値50.8から下方修正され過去最低となった昨年8月来で最低となった。また、全米の製造業活動をあらわすISM製造業景況指数の2月分は50.1と、1月50.9から低下。活動の拡大と縮小の境目となる50をかろうじて維持した。ただ、重要項目の新規受注は49.8と、1月52から再び50を割り込み活動の縮小となった。輸入は2009年来で最低、生産は2018年来で最低を記録。また、入荷遅延は57.3と、52.9から急伸しており、サプライチェーンの混乱の証拠となっている。

■ISM製造業景況指数:50.1
新規受注:49.8(1月52)
仕入れ価格:45.9(53.3)
受注残:50.3(45.7)
入荷遅延:57.3(52.9)
雇用:46.9(46.6)
生産:50.3(54.3)
輸入:42.6(51.3)
輸出:51.2(53.3)

新型肺炎への対処で、世界各国が協調利下げに踏み切るとの思惑も浮上。ゴールドマンサックスなど一部金融機関は連邦準備制度理事会(FRB)も今月17日、18日に開催が予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)または、それ以前に50ベーシスポイントの利下げに踏み切ると予想している。

FRBのパウエル議長は2月28日に緊急声明を発表。経済を支援するために手段を用いて適切に対応するとの断固とした方針を表明。パルエル議長の緊急声明は、各国中銀が新型肺炎による経済の下方リスクの一段の深刻化に焦点を集めている証拠だとゴールドマンは指摘している。カナダ中銀、豪州準備銀、NZ準備銀、欧州中央銀行(ECB)、ノルウェー中銀、インド準備銀、韓国中銀、スイス国立銀の利下げを予想。

日本銀行はETF過去最大規模となる1014億円買い入れ。黒田日本銀行総裁は
日銀が潤沢な資金供給と金融市場の安定確保を公約した。高官筋の話として、欧州中央銀行(ECB)も新型肺炎の蔓延による経済への影響に対応するため追加利下げやさらなる資産購入も辞さない方針だという。

特に、今週金融政策会合が予定されている豪州中銀やカナダ中銀の政策に注目。緊急利下げに踏み切るかどうかに焦点が集まる。G7財務相、中銀は新型肺炎を巡る対応で3日にも電話会談を開催する。《CS》

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