米連邦請求裁判所、国防総省とMicrosoftのJEDI Cloudの契約に事前差止命令

2020年2月17日 08:22

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記事提供元:スラド

米連邦請求裁判所は13日、米国防総省がMicrosoftと契約した軍用クラウドシステムJEDI(Joint Enterprise Defense Infrastructure) Cloudについて、契約の履行を一時中止するよう事前差止命令を出した(Ars Technicaの記事CNBCの記事Federal News Networkの記事The Registerの記事)。

軍の機密データを処理するクラウドシステムを民間企業が構築するJEDIは2018年7月~10月に公募を実施し、昨年4月にはAmazon Web Services(AWS)とMicrosoftが最終選考に残っていた。契約は最長で10年間、総額100億ドルに上る大規模なもの。規模からみてAWSが有力視される中、昨年10月にMicrosoftが契約を勝ち取った

しかし、AWSは契約先の決定にあたり、Amazon CEOでWashington Postのオーナーでもある「政敵」ジェフ・ベゾス氏に損害を与えるためドナルド・トランプ大統領が不当な圧力をかけたと主張して国防総省を提訴。トランプ大統領やマーク・エスパー国防長官などを証言台に立たせようともしている。

今回の事前差止命令はMicrosoftが作業を始めてしまえば契約が固まってしまうなどとしてAWS側が請求していたものだ。判事はAWSの請求を認める一方、不当な差止が行われたと判断された場合には費用と損害を補填するため4,200万ドルの準備も命じたという。なお、今回の事前差止命令に関する裁判所文書は非公開となっているそうだ。

国防総省とMicrosoftは事前差止命令に対し、米軍が緊急に必要とするJEDIが遅れることに遺憾の意を示している。一方のAWS側は、AWSに有利な要件設定ではないかというトランプ大統領の指摘を受けて昨年8月に再確認が行われた際、エスパー長官がJEDI完成に絶対的なタイムラインがあるわけではないと述べたことを引き合いに出し、国防総省は緊急性を示していないと裁判所へ提出した文書の一つで述べているとのことだ。 

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