目指すのは何? デジタル・都市型ショールーム「アウディシティ紀尾井町」

2020年2月15日 08:32

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「Audi City紀尾井町」の店内の様子。(画像: アウディ ジャパンの発表資料より)

「Audi City紀尾井町」の店内の様子。(画像: アウディ ジャパンの発表資料より)[写真拡大]

 アウディ ジャパンは2月7日、東京都千代田区に「Audi City(アウディシティ)紀尾井町紀尾井町」オープンした。これは、ロードサイド型店とは異なる都市型のショールームとのことだが、建物面積は都市型と称するだけに狭く、展示可能な車両の台数は地下に展示するものを含めても4台に過ぎない。

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 だがその狭い店舗面積をカバーするのは、デジタル技術だ。タブレットで選んだ車両を、大型スクリーンおよびVRゴーグルで体感できる仕掛けになっている。このソフトの出来次第でエンターテイメントにもなるのであろう。

 都市型ショールーム「アウディシティ」は、2012年のロンドンを皮切りに、2013年には北京でオープンし、ベルリン、イスタンブール、モスクワ、ワルシャワ、ウィンブルドン、そして東京紀尾井町と出店している。

 アウディ ジャパンの2019年の販売実績は振るっておらず、前年比8.4%減の2万4222台の販売台数にとどまっている。こうした実績回復には、従来どおりの新車攻勢をかけるようだ。

 BEV(純粋電気自動車)「e-tron」を初め、売れ筋の新型「Q3」に加え、「A1」には1リッターエンジン搭載モデルを追加すると言う。さらに、マイナーチェンジを「Q7」「A4」「A5」に行って投入するようだ。

 しかし、これであると従来の戦略と同じで、新しい試みである「アウディシティ」は、デジタル技術で目先を変えるだけとなる。それでもある程度の効果はあるものと推察する。

 将来クルマは所有からシェアリングへ移行すると見込まれており、自動車産業は製造販売からサービス業への転換などを考えなければならないが、アウディは将来を見越しての施策はまだ先で良いと見込んでいるのであろう。

 だがこれでは、縮小する市場を立て直すことはできず、自動車産業自体はBEVの普及と共に縮小せざるを得ないのであろう。

 販売は、市場に対して何らかの「提案」が必要だ。都市型ショールーム「アウディシティ」の3D画面で体感する方法は、現代若者の気を引き、ソフト次第で自動車の楽しみを伝えるきっかけにはなろう。その客をどこに誘導し、クルマは「どの様な魅力」があるかを示すことが肝心だ。

 「実用から運転する楽しみ」まで、「アウディシティ」を顧客の「縄張り」として開放し、エンターテイメントとして演じきることが大切だ。

 すなわち、アウディ車が「お客様のライフスタイル」の中で「どの様な役割」となるのかを示せれば、新しい市場が創出できるのだ。

 これはアウディや「アウディシティ」に限ったことではなく、従来のロードサイドの店舗でも同じことだ。その中で、都市型ショールーム「アウディシティ」は大胆にソフト開発を進めるチャンスでもある。何しろ、演じるスクリーンが用意できたのだから。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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