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電通、上場来初の営業赤字に 19年12月期予想を下方修正 海外事業が不振
■海外事業ののれん減損が赤字要因
電通グループ(電通G)(4324)は12日大引け後、公表済みの19年12月期通期業績予想(IFRS基準)の下方修正を発表した。売上収益は前回予測の1兆348億円から1.3%増の1兆479億円としたが、営業損益は609億円の黒字から34億円の赤字、最終損益は62億円の黒字から809億円の赤字とした。
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01年11月に株式上場した電通Gだが、通期決算での営業損失は上場来初のことだ。IFRS導入の影響から、19年12月期で約701億円ののれん減損損失を計上することとなったことが赤字要因だ。オーストラリアでの大規模クライアントの喪失や、中国エリアでの広告事業の不振、買収によって取得した子会社の事業価値が低下し、のれん減損を認識したことなとが影響した。
■のれん減損を除くと営業利益は上方修正も
日本の広告代理店を代表する電通G。近年海外の同業種の大規模M&Aを断行し、企業拡大をしてきたが、今回子会社買収によって生じたのれんを減損することとなり、上場来初の赤字となる見込みだ。海外志向を進めてきた電通Gにとっては生みの苦しみとなった。
一方、日本国内においては、コストコントロールを実行し販管費は想定よりも抑制。営業利益から無形資産やM&Aにおけるのれんの償却等、一時要因を取り除いた「調整後営業利益」においては、事前予想の1,355億円から3.9%増の1,408億円と上方修正とした。
■向かい風が吹く電通Gの今後は
海外事業におけるM&A加速と、国内事業の効率化を進めてきた電通Gだが、過労死や不祥事が相次いだ。また、インターネットメディアの台頭から、テレビ全盛期時代の強力な存在感を十分に発揮できずにいる。今回の減益要因はのれん減損ではあるが、今後事業業績においても有効な手立てを立てることが再起の鍵となる。
13日に通期決算発表と来期予想を発表する予定だが、引き続き向かい風が吹く事業環境下でどのような手立てや方向性を示せるか気になるところだ。今後の投資姿勢に関して変調が見られるようであれば、財務状況にも注視する必要がある。(記事:拓蔵・記事一覧を見る)
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