トヨタGRヤリス 「GR-FOUR」が狙うのはWRCラリーカー スバルAWDの実力を再認識

2020年1月30日 07:32

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1.6ℓ直列3気筒直噴ターボエンジンとスポーツ4WDシステムによる「GR-FOUR」(画像: トヨタ自動車の発表資料より)

1.6ℓ直列3気筒直噴ターボエンジンとスポーツ4WDシステムによる「GR-FOUR」(画像: トヨタ自動車の発表資料より)[写真拡大]

 トヨタGRヤリスに搭載された「GR-FOUR」と名付けられたAWDは、同じくトヨタの「e-Four」システムとは違って機械式AWDである。機械式AWDでは先輩格のスバルが有名だが、トヨタGRヤリス「GR-FOUR」のAWDは、WRCのラリー競技に参加する前提で造られている。

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 ボディも5ドアハッチバックではなく3ドアハッチバックと、車重で有利になるように考えられている。それだけではなく、WRCのレギュレーションに沿って改造も有利に出来るように考えられている。つまり、トヨタGRヤリスは「全てがWRCのため」を基本にしているのだ。

 トヨタは、こうした方針をトヨタ・スープラとBMW・Z4の共同開発から学び取っているとも言える。つまり、「初めにレーシング仕様ありき」で開発をすすめ、のちに市販車のパッケージを考える手法だ。こうすることで市販車も高い走行性能を持つことが出来る基礎となるのだ。

 これまでのトヨタ車の「e-Four」はFFで前輪駆動を基本としているが、後輪を駆動するモーターを追加し、滑り出したら後輪駆動モーターを起動する仕組みだった。そのため30km/h以上で走行中は、後輪の駆動が間に合わずに滑り出してしまうという限界があった。

 それに対してヤリスの「GR-FOUR」は機械式で、FF基本のフルタイムAWDを基本構造としているが、巡行している時には燃費を考慮して後輪駆動を切り離してFF走行とするシステムのようだ。スバルは完全なフルタイムAWDを全車装備しているので、雪道をはじめとする悪路の走破性などではトヨタよりもノウハウを持っていると思われる。

 トヨタGRヤリスではFF駆動からドライブシャフトに出力をとり、リヤデフユニットと一体の多板式クラッチを使い前後の回転差などを調整するシステムのようだ。駆動力については、完全なFFから最大で30:70(前:後)比までに制限しているようだ。

 電子制御式AWDシステムでは、走行状態に合わせた前後駆動力の比率などのノウハウが必要なようで、スリップを出来るだけ避けるセッティングが燃費を左右することとなる。今後、SUV、セダンなどどのような車種でもAWDを基本とすることになろうが、タイヤの空転を出来るだけ抑えられると燃費が向上することとなる。

 トヨタGRヤリスを開発したメリットは、かなり大きいと見るべきなのであろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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