関連記事
【株式・RAMAの秘密】カルロス・ゴーンは自らが独裁者となるように組み立てていた
(c) 123rf[写真拡大]
「ルノーと日産の経営統合を防いでいた」のは、元々カルロス・ゴーンだ。しかし、日産がルノーと統合されることを防ぐために「クーデター」は起こった。その動きに日本政府が乗ったのか、日本政府が仕掛けたのかは別にして、カルロス・ゴーンの逮捕劇は「クーデター」であることは間違いないだろう。
【こちらも】【コストカッター、カルロス・ゴーン(7)】ルノー(フランス政府)との敵対的攻防を想定せよ
カルロス・ゴーンの不正とされる内容を見ると、通常は特捜部が動いていきなり身柄を拘束するような事件ではない。常識的には「不適格な資金の使い方」であっても、取締役会によって罷免される程度であろう。
この背景には、日産・ルノー・三菱のアライアンスが、実質的にカルロス・ゴーンの采配次第で動く仕組みが構築されていたことがある。しかし、フランス・マクロン大統領がルノーの日産支配に対して不満があり、政治家としてフランスの雇用を増やすことを迫られ、カルロス・ゴーンに日産の統合を指示したことがある。
それによって、「ゴーンは、日産のルノーとの経営統合を進める立場に転じてしまった」ことが引き金であろう。
ルノーが保有する日産株式は43.4%、すると、ルノーは7%の日産株を買い増して過半数の議決権を持ち、実質的に支配することが出来るのだ。が、買い増しをすれば、日産側がルノーとの契約である「改定アライアンス基本合意書(RAMA)」の「不当な日産への経営支配」として、逆に日産がルノー株式を25%以上に買い増して、日本の法律で株式の持ち合いを成立させ、ルノーの日産株式による議決権行使を無効と出来る。
このにらみ合いによって、ルノーと日産の力関係はバランスをとっていた。これは現在もそのままであろう。
日産には株式7%の自社株があり、それをルノーの持ち株と合わせると50.7%となり、ルノーは日産を支配できるという事実がある。つまりこれは、カルロス・ゴーンのように日産社内を実質的に支配していれば、7%の株式をルノーに上乗せすることも出来るし、ルノーに反対することも出来るという仕組みだ。さらに、カルロス・ゴーンの立場を、ルノーからも日産からも守る仕組みでもある。
【参考】【コストカッター、カルロス・ゴーン(9)】 現実の「RAMAと総会での想定される抗争劇」
こうした仕組みによってカルロス・ゴーンの独裁体制が保証されていたため、ゴーンの不正を知っていたところで、取締役会は人事権を握られており、日産社内でゴーンを追い出すことは出来なかったのだ。すなわちカルロス・ゴーンの逮捕劇は、むしろ日本政府側の知恵ではないかとも推察できる。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
スポンサードリンク