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【系列は崩壊するのか?(5/6)】系列を株式保有割合でなく「ビジネスモデル」で理解せよ
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■系列を株式保有割合でなく「ビジネスモデル」で理解せよ
下請け制度について、村上ファンドの手法のように単純に支配力で見ることは的外れだ。きちんとメーカー経営のビジネスモデルとしてとらえ、「資金効率」で測らないと、かつての日産自動車や現在のホンダのようにコスト高を招く。
【前回は】【系列は崩壊するのか?(4/6)】隠されたメリットは下請けの立場の給与水準
「投資感覚」でビジネスモデルを考えていると、その時々の表面的なコストに目を奪われる傾向になる。例えば、グローバル発注での「部品単価」について考え直してみる。部品単品で比較して「安いところから買う」としているのだろうが、「総合的費用」ではとんでもない「資金量が必要となってしまう」ことが多い。
さらに、「ロット生産」と「混流生産」の違いを明確に把握すべきなのだ。これが、これからの「第4次産業革命」において、どの様に影響していくのかも理解することだ。
技術開発分野でも、製品(自動車)開発に際しても、製造技術、生産技術、品質管理技術などトータルで開発することを考えないと、最近のホンダ・フィットによる駐車ブレーキトラブルのように、サプライヤーの管理状況に踏み込めないため、損害は致命傷になることもある。
またタカタのエアバッグの例では、稀ではあるが企業の存続を脅かす結果となる。さらに過去には三菱自動車の例がある。スバルの品質不安でさえ、利益率9%近いところから6%にまで下げてしまった。取り返しのつかない金額ではあるが、企業は存続している。しかし、三菱自動車の場合は、「人命」という取り返しがつかない犠牲を出してしまった。
「資金効率」を考えるにあたって、「人命」の要素を加えることはできないと考える経営者や品質管理責任者がいるかもしれない。株式保有率だけで企業は支配できる可能性が高いし、村上ファンドが幾度もその事例を見せてくれた。
しかし、メーカーが長期の生き残りをかけた運営を考えるとき、株式保有率で割り切ることは危険だ。「大塚家具」が失敗したのは、その考えのためビジネスモデルを見間違えたことだ。株式保有率で企業を支配しても、肝心な「ビジネスモデル」を理解できなければ企業の長期存続はかなわない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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