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3大デベロッパー株との付き合い方
周知の通り、都市再開発が進んでいる。だがその一方で、例えばオフィス市場などは「9回2アウト状況だったが働き方改革という流れの効果で、延長戦状況」(みずほ総研)と多少の改善状態を感じさせるが、「東京五輪・パラリンピック」「大阪万博」後の需給懸念を依然として指摘する声も決して少なくない。
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そんな昨今、「三菱地所(地所)・三井不動産(三井不)・住友不動産(住不)の3大デベロッパーは株式投資の対象としてどうか」と問われることが少なくない。結論から急げば、「資産づくり」の対象としては正直なところ魅力は覚えない。その訳は後述するが、3社間にはそれぞれ特徴があることは事実。前2019年3月期決算から、以下のような点が浮上してくる。
★地所: 主軸は丸の内再開発であり、「丸の内の大家さん」という存在感は不動。
★三井不: 売上高・営業利益ともトップ。バランス経営に特長がうかがえる。「賃貸31.9%/分譲28.5%/マネジメント20.2%/三井ホーム事業14.4%」といった具合。丸の内界隈は表現の如何はともかく「他人の庭」という方向性が、「柏の葉スマートシティ(千葉県柏市)」「東京ミッドタウン(港区赤坂)」に象徴されるように都心周辺地の開発・深堀を実現させている。
★住不: 営業利益率の高さが目を引く。21.8%(地所18.1%、三井不14.1%)。アナリストは「住不は(マンションの)値引き販売をせず、時間をかけて売り切っていく」と背景を説明する。
さてそんな日本を代表するデベロッパー3社を投資対象とする場合の姿勢は、どうあるべきか。押し目・反発狙いも一法だろうが、中期構えの資産形成にはここ数年来の動きを見る限り不向き。各社の株を17年3月期の初値で買い、本校作成時点の時価まで保有していると株価パフォーマンスはこんな具合。住不は17%強も、三井不マイナス1.5%/地所マイナス3.5%。
ただ前記の通り「押し目拾い戻り値」売りは有効。極端に言えば19年の株価動向の安値・高値を見極めることができれば「三井不(中間期に上方修正)31%」「地所29%」「住不25%」の鞘取りが可能。
また「目標株価設定」を行うアナリストの見方にも、目を置いておくべきと言える。IFIS目標平均株価でみると時価に比べ「地所は29%強上値/三井不は31%方上値/住不は25%方上値」となっている。
既に日本を代表する企業となり「成長企業」の域を脱した企業群には、「資産株」ではなくそれなりの投資法があるということのようである。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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