こんにゃく芋がアルツハイマー病予防に有効 北大の研究

2019年12月12日 16:41

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アルツハイマー病のモデルマウスにこんにゃく芋由来のセラミドを投与した効果(写真:北大の発表資料より)

アルツハイマー病のモデルマウスにこんにゃく芋由来のセラミドを投与した効果(写真:北大の発表資料より)[写真拡大]

 北海道大学は10日、こんにゃく芋から精製したセラミドが、アルツハイマー病の予防に有効であることを発見したと発表した。モデルマウスにセラミドを投与することで、アルツハイマー病の主要因である体内化合物「ペプチド」が軽減されることが確認されたという。

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■認知症のひとつであるアルツハイマー病

 アルツハイマー病は、老年期の認知症のひとつだ。脳内の神経細胞が徐々に減少し、認知症が引き起こされる。

 アルツハイマー病発症の主要因として考えられるのが、「アミロイドβペプチド」と呼ばれるペプチドだ。複数のアミノ酸の連鎖であるペプチドは、ホルモン作用や抗菌作用といったさまざまな生理活性作用を有している。

 アミロイドβペプチドの蓄積がアルツハイマー病発症につながることから、その量をコントロールすることでアルツハイマー病の治療や予防に有効だと考えられる。

■美肌にも効果のあるセラミドがアルツハイマー病予防に役立つ

 北海道大学の研究グループが注目したのが、こんにゃく芋から精製した「グルコシルセラミド」と呼ばれるセラミドだ。

 セラミドは脂質成分のひとつで、皮膚のバリア機能や水分保持の役割を担っている。そのため機能性食品素材として、美肌目的のサプリメントや飲料に配合されている。

 研究グループは、ペプチドを脳内で過剰に発現するモデルマウスを実験に用いた。植物セラミドを1日1ミリグラム2週間ほど経口投与し、観察を続けた結果、大脳皮質や海馬領域でペプチド濃度の低下が確認された。また行動実験を実施したところ、短期記憶の改善も確認されたという。

 細胞からは「エクソソーム」と呼ばれる顆粒状の物質が分泌されている。研究グループは、神経細胞から放出されるエクソソームが、ペプチド除去の能力をもつことを明らかにしていた。今回、エクソソームの産出を増やす植物セラミドの効果がモデルマウス実験で検証された。

 本研究成果により機能性食品素材や新薬開発につながる可能性があると、研究グループは期待を寄せている。今後、ヒトによる植物性セラミドの認知機能改善効果の検証を実施する予定だという。

 研究の詳細は、オンライン学術誌Scientific Reportsにて11月15日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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