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headless曰く、
リキッド加熱式電子タバコの使用が原因の閉塞性細気管支炎とみられるカナダでの症例がCMAJで報告されている(CMAJ誌掲載論文、SlashGear)。
17歳の男性患者は1週間ほど続いた咳や呼吸困難、発熱などの症状を訴えて来院。当初は肺炎と診断され、抗生物質の処方を受けて帰宅したが、症状が悪化して5日後に入院することになる。一時は挿管が必要なまでに重症化したものの、副腎皮質ホルモンの投与で症状は改善し、47日後に退院した。検査の結果、感染性ではない急性の炎症が確認されており、初期の閉塞性細気管支炎とみられている。
患者は喫煙しないが、「dew mountain」「green apple」「cotton candy」といったフレーバーのリキッドをカナダのオンラインストアで購入し、過去5か月間毎日使用していたという。リキッドにはいつもTHC(テトラヒドロカンナビノール)を加えていたといい、時折水ギセルによるマリファナ吸引もしていたそうだ。使用済みカートリッジは既に廃棄されていて検査できないが、家族によると使用頻度は高く、深く吸い込んでいたとのこと。
閉塞性細気管支炎は電子レンジで作るポップコーンの工場で働く人の症例が多く、「ポップコーン肺」とも呼ばれる。ポップコーン肺の原因は合成バターの風味付けに用いられるジアセチルで、甘い香りの電子タバコ用リキッドの多くに含まれる成分でもある。
ジアセチルは電子タバコ用リキッドのフレーバーに使われるアセトインから合成されることも知られており、成分表示でジアセチル不使用とされる製品に含まれることもある。特にニコチンを含む製品ではアセトインからのジアセチル合成が加速するとのこと。そのため、電子タバコ用リキッドの中には安全レベルを超えるジアセチルを含むものもあるようだ。
上述のとおり実際に患者が使用したカートリッジは残っていないものの、原因物質はジアセチルとみられ、現在米国で問題になっているEVALIとは原因物質が異なる。ジアセチルはポップコーン肺だけでなくさまざまな肺疾患の原因になることも指摘されているが、電子タバコ使用による閉塞性細気管支炎の症例が報告されるのは今回が初めてとのことだ。
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※この記事はスラドから提供を受けて配信しています。
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