数百万光年離れた銀河同士が連携している謎

2019年11月16日 16:43

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 量子論の世界では、かのアインシュタインが「奇妙な遠隔作用」と呼んだ「量子もつれ」という現象の存在は、もはや一般常識となっている。

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 この「量子もつれ」とは、異なる場所にある粒子のスピンなどの量子状態が独立に記述できない現象をさす言葉で、分かりやすく言えば、対をなす2つの粒子を隔離した際に、片方の粒子の量子状態を変えれば、相方の粒子の量子状態も瞬時に呼応することを意味している。

 しかも、隔離した距離がたとえ何億光年離れていようとも、呼応は瞬時にして起こる。つまり、これら2つの粒子の量子状態に関する情報は、光よりも速く、瞬時に伝わるのである。

 これとよく似たことが、何百万光年も離れた銀河同士でも見られることが、韓国天文宇宙科学研究所の研究で明らかとなった。ただし、銀河の回転方向を瞬時に変えるのは不可能である。つまり、何ら関連性を持たない銀河同士と考えられていた存在が、同じ回転方向かつ回転速度を有していることを見出したのだ。

 しかもこの宇宙には、このような関係にある銀河のグループがいくつもあり、最大2千万光年離れた銀河間で連携が見られるという。

 研究者たちは、このような銀河間の連携が存在する理由は、宇宙の大規模構造によるものではないかと推測を立てているが、現在のところそれを裏付ける確固たる証拠は見出されていない。それどころかこのような銀河の連携関係について、従来の理論では全く説明がつかないため、研究者たちはむしろ困惑している。

 また、5年ほど前には別の研究者たちが、数十億光年も離れたクエーサー同士でも、回転軸が整列していることを見出している。

 つまり、この宇宙には小さな存在は量子から、はたまた大きな存在は銀河やクエーサーに至るまで、隔てられた距離の大きさとは無関係に奇妙な連携関係が存在していることになる。

 いずれの存在の連携関係も、それが生じた原因やメカニズムは研究者たちにもまだ全くわからない大きな謎である。ただ言えることは、ニュートン力学、相対性理論、量子論など既存の学問のカテゴリーでは説明ができない謎が、宇宙には横たわっているということであり、そのような事象を目にして、我々人類はもがき苦しむしかない。

 その答えにたどり着けたとき、我々はタイムトラベルや、何千光年もかなたの宇宙への移動を可能にするテクノロジーを手に入れられるようになるのかもしれない。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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