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菌類の持つ記憶能力を発見 東北大などの研究
接種源(下の木片)から成長を開始した菌糸体は、新しいエサ(上の木片)が小さい場合(左の写真)は新しいエサに完全に引っ越さなかったが、大きな場合(右の図)は完全に引っ越し、接種源からいなくなった。(画像: 東北大学の発表資料より)[写真拡大]
脳や神経などの機構を持たない菌類にも、記憶能力すなわち知性の一種が見られることが分かった。東北大学大学院農学研究科の深澤遊助教と英国カーディフ大学のリン・ボッディ教授らが明らかにした。
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菌類は一説には地球上で最大の生物とも言われる。アメリカのオレゴン州には、シロナガスクジラなど問題にもしない規模に渡って菌糸を伸ばす超巨大なオニナラタケが発見されており、これが現在地球上で最大の生命体ではないかというのだ。
その話はまあ置いておこう。いずれにせよ菌類は、落ち葉や枯れ木などの有機物の分解や、生きた木々との共生などにより森林の物質循環に大きな役割を果たす生き物だ。
さて、菌類の菌糸体は土壌に張り巡らされている。そして新たな枯れ木を探してそこに生着するわけであるが、この行動に「知性」が見られるかどうか、という問題に着目したのが今回の研究である。
研究では、まず菌糸体を生着させたさまざまな木片を土壌シャーレの上に置いた。そして、菌糸体が土壌に伸びたあとに新しい木片を少し離れた場所に置き、菌糸体にそれを「発見」させた。
そしてしばらく培養すると、小さい餌を見つけた菌糸体はその後も元の木片から離れずに探索を続けたが、大きい餌を見つけた菌糸体は、探索をやめて新しい餌に集中して生着を始めた。
さらにこの状態でひと月ほど置き、新しい土壌に元の木片を移すと、小さい餌を見つけた菌糸体は成長を再開したが、大きい餌を見つけた菌糸大体はそれ以上移動しなかった。
以上のことから、脳や神経系を持たない菌類の菌糸体にも、何らかの手段で記憶や決断を行う機構が備わっていると考えられるのである。
研究の詳細は、The ISME Journalのオンライン版で公開されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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