マツダ3はCX-30より魅力的か? SKYACTIV-Xエンジンの商品力を紐解く(1/2)

2019年11月1日 08:03

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「MAZDA3」ファストバック(画像: マツダの発表資料より)

「MAZDA3」ファストバック(画像: マツダの発表資料より)[写真拡大]

 今年の欧州カーオブザイヤーには、やはりマツダからはマツダ3とCX-30がノミネートされた。12月に日本で発売予定であるマツダ3のスカイアクティブ-Xエンジンの圧縮比については、ヨーロッパ仕様の16.3から日本仕様では15.0にはダウンされるようだ。それにもかかわらずハイオク推奨となっている。通常、圧縮比が落ちるとハイオクは必要なくなるのだが、これでは色々憶測を呼ぶ。

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 これだとマツダ3の商品価値に関わってしまう恐れがある。それでなくとも、マツダ3はマツダ・CX-30の販売台数にはかなわない見込みであるのだ。それは、マツダ3は「スペシャルティーカー」の分野に属しており、かなり実用的ではあるが量産車というわけにはいかないからだ。さらにSUVブームの中では、当然CX-30のほうの購買層が広いことが考えられるのだ。

 スペシャルティーカーとしてのマツダ3の魅力の一つが、スカイアクティブ-Xエンジンを初めて搭載することだが、一般ドライバーには商品力として魅力を感じられるほどの変化は、他のエンジンと比較して特段にないのである。

 スカイアクティブ-Xエンジンは極希燃焼システムだが、圧縮比を高くすることが出来るので高出力となることが魅力である。スカイアクティブ-G2.0の圧縮比13.0、スカイアクティブV-D1.8の14.8と比較して、16.3はかなりの高圧縮比だ。これが日本仕様で15.0になるとしても、ディーゼルエンジン仕様よりも高い圧縮比であり、これはガソリンエンジンとしては常識外のことだ。

 これによりスカイアクティブ-Xエンジンは高い「熱効率」、おそらくは45%以上を達成していると思われ、これが燃費性能も向上して商品力となるはずだった。

 しかし、日本仕様では15.0まで圧縮比を落としてレギュラー仕様となると、販売台数に影響することは必須と思われる。欧州仕様は以下の通り。

 欧州仕様
 圧縮比:16.3
 最高出力:180ps(132kW)/6000rpm
 最大トルク:224Nm/3000rpm
 使用燃料:RON95

 一方で、圧縮比を落とした日本仕様では、レギュラー仕様(RON89.0以上。流通しているのはRON90)となるのだが、欧州仕様と同程度の出力とトルクを発揮するようで一安心だ。

 使用燃料のRON89.0、RON95などのオクタン価表示は懐かしい。戦時中、日本軍はガソリン不足に悩まされて、特にハイオクタンのガソリンは手に入りにくく、松脂を混合してハイオクタンを作り出したりしていた。戦争末期には、通常飛行している時にはレギュラーを用いて、戦闘時だけにハイオクタンを使用するなどしたと伝えられている。

 そのため、陸軍航空隊の四式戦「疾風」は、日本の性能表示では最大速度624km/hと表示されていたが、戦時中アメリカ軍に捕獲された機体をハイオクタン燃料でアメリカ軍がテストしたところ680km/h以上を記録したのだ。よって、アメリカ軍は「疾風1機に対して味方2機以上でなければ戦闘するな」と指令したと言われていた。アメリカ軍の燃料の質の良さを伝える話だ。

 さて、そもそもスカイアクティブ-Xエンジンに本当の魅力を感じる人々は、ほとんど私のようなマニアであると思われ、一般的な商品力としては「燃費が多少良い」程度の認識と思われるのだ。

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