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自動車用モーター向けの新しい磁石の合成法を開発 産総研などの研究
今回開発されたプロセスと従来のプロセスで合成したSm2Fe17N3微粉末の粒子径と室温保磁力の関係(左)、開発された磁石粉末の外観写真(右)。(画像:産業技術総合研究所発表資料より)[写真拡大]
高い耐熱力と磁性を両立する磁石粉末の合成法が開発された。Sm2Fe17N3(サマリウム-鉄-窒素)磁石と言い、主に自動車用モーター向けのもの。研究は産業技術総合研究所、磁性粉末冶金研究センター、TDKの共同による。
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ハイブリッド自動車に使われる高効率モーターは、永久磁石を用いるもので、IPMモーターと呼ばれる。エアコンや冷蔵庫などにも使われるのだが、特に近年、自動車の電動化が全世界的に進められていることから、より高性能な自動車駆動用モーターが求められている。
自動車駆動用モーターは、内部の温度が200度という環境で動作する。従って、高い耐熱性と、高温でも磁性を維持する性質が求められる。現在のIPMモーターにはNd-Fe-B(ネオジム-鉄-ホウ素)磁石が用いられているが、Nd-Fe-B磁石は高温では保磁力が劣化するため、ジスプロシウムやテルビウムなどの重希土類元素の添付が必要となっている。
重希土類元素というのは、分かりやすい言葉で言えばレアアースの一種である。イオン吸着型鉱床で採掘されるのだが、レアアースの中でも特に稀少性が高く、資源埋蔵量に限界があり、価格や供給が不安定だ。従って、重希土類フリーの磁石に対する研究開発の需要があった。
今回開発された磁石は、重希土類を添付せずとも、室温での保磁力が30 kOe(キロエルステッド、エステッドは磁場の強さの単位)、200度でも約11 kOeと高い。さらに耐熱性にも優れているため、Nd-Fe-B磁石を越える磁石を実現することが期待されるという。
なお、研究の詳細は、2019年10月22日から24日にかけて名古屋大学で開催される、粉体粉末冶金協会講演大会で発表される。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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